【森本】 出資された投資家はどのような方々ですか。
【本間】 IT系企業とその経営者の方々です。
【森本】 ファンドの組成には、どれくらいの期間がかかりましたか。
【本間】 7カ月くらいです。ファンドの規模は数億円規模で、それほど大きいものではありません。
【森本】 その規模は投資先企業の規模に応じたものということですね。
【本間】 そうですね。ステージが浅い企業が対象ですから、当初の資金はそれほど必要がありません。それに、いま、私は一人でやっていますから、ファンド自体もたくさんの案件を一気にビジネス化できる構造にはなっていません。だいたい1ショット2,000万円から3,000万円の資金で、ある程度まとまった株を所有するモデルになっています。
【森本】 すべてお一人でなさっているのですか。
【本間】 はい。でも、現在、投資している案件は4社ですから。
【森本】 ファンドの何%ぐらいを投資したのですか。
【本間】 まだ、2割から3割といったところです。
【森本】 最終的に何社くらいの投資を考えておられるのですか。
【本間】 一応、8社から9社をターゲットにしています。
【森本】 創業からの支援というのは、本間さんのビジネスアイデアを、一緒になってビジネスモデルの構築と事業化へと進めてくれる経営者を探すというスタイルなのですか。
【本間】 成功しているベンチャーのビジネスモデルは、結果として創業時からの事業にブレのないケースが多いのです。先ほどのMonotaRO社やベンチャーリパブリック社もそうです。日本のベンチャー企業を見ていて私が感じることは、日銭を稼ぎに走る傾向があることです。親しいクライアントから「こういうのを作ってほしい」といわれると、まじめなのかもしれませんが、本来のビジネスモデルから外れたものまでも応じてしまうことが、往々にあります。ですから、初めの企画の段階をしっかりとすることが重要になります。また、通常のベンチャー企業がベンチャーキャピタルからの投資を望むときは、ビジネスモデルや組織構造はすでにある程度固まっています。そこにベンチャーキャピタルがあれこれのアドバイスをしたとしても、企業成長に関われる面には制約も多くなりますし、経営者との関係構築も困難になりがちです。私の今のモデルの場合は、ゼロのステージのところから、ビジネスコンセプトを構築したり、優秀な人材を入れたりしながら、長い時間のすり合わせを経てベンチャー経営陣と意思を共有していくベンチャー支援をしています。考えた大まかなビジネスコンセプトをベースにして、起業家の事業への希望や方向性を聞きながら、これから立ち上げる事業のマーケット領域を定めたりビジネスモデルを作り上げていくようにしていきます。
【森本】 具体的な事例としてはどういう展開がありましたか。
【本間】 私がコアピープルで初めて事業を立ち上げた投資案件はイデアルリンクという会社なのですが、「Hot Docs」というサイトでYouTubeの文書版のようなインターネットサービスを提供する事業を行っています。パワーポイントやエクセルなどで作成された文書をYouTubeのようにユーザーから投稿できるシステムになっていて、その文書をわざわざダウンロードしなくてもサイトを開いた状態のままで読めるものです。イデアルリンクの経営陣は、東京工業大学卒業後にベンチャーを立ち上げた二人組で、当初は、教育関連のビジネスをやりたいということでした。そこで、私のほうから、Hot Docsの基になるビジネス案を提示して、彼らとそれを納得するまで議論した後、彼らがきちんとシステムを作り上げたことでできあがったものです。
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