【森本】 ベンチャーキャピタルの投資へ移行させた時点をエグジットと捉えていいのですか。
【本間】 まずそこをゴールとして狙っていくということですね。創業の段階でいきなりIPOを狙うといっても、それは不確定な話に過ぎませんから。セカンドステージにいくためにはファーストステージでしっかり事業を作らなければいけないわけで、そこをきちんとやることが大切なのだと思います。先の話はその時のことだろうと思います。
【森本】 追加投資をする場合は、どのようなジャッジでなされますか。
【本間】 私自身が実践しているビジネスモデルが、ゼロからのスタートを基本にしていますが、そうすると、何を「1」とするのか、という問題が出てきます。もともと狙いのあるサービスやビジネスの案を持っていて、それを実現することがゴールになるのですが、基本的には、2年程度でビジネス化することをゴールの目安としています。2年後に、どうしてもそのビジネスの拡大に資金調達が必要であるのなら、黒字化してスケールのあるビジネスに育ったという状況を目標に、次のラウンドを作ろうと考えています。その意味では、追加投資は常に考えています。
【森本】 追加投資の事例はあるのですか。
【本間】 まだありません。
【森本】 現在温めていらっしゃるビジネスにはどのようなものがありますか。
【本間】 インターネットビジネスの領域は、比較的シンプルでして、専門家と集合値を対比して見たときに、集合値のほうに強みがある、という判断ができる場合にチャンスがあると思います。たとえば、旅行のガイドブックを作るのと旅行ガイドのサイトを作るのでは、情報量に決定的な差が出てきます。インターネットの世界では、旅行ガイドのサイトで多くの人の意見を集めて作れば、有名なレストランだけでなく、誰も知らないような小さなしゃれた店の情報まで、細かい情報を集めることができます。こうした理論的な説明ができるから、旅行ガイドはインターネットのサイトで作るべきだ、という結論が出てくるのだと思います。
【森本】 こうした例はすべてに当てはまりますか。
【本間】 厳密には外れるものもあるのですが、先ほどのHot Docsもほぼそういう考えで、みんなで作るというコンセプトである程度のパイが取れることが見えているので、そこをとにかく作ろうということになっていったものです。次に考えているのは、たとえば、英会話のデータベースです。英会話の市場はだいたい1,500億円くらいで、英語の教材を含めると5,000億円くらいの市場です。いま音声のインプットのコストがすごく下がってきていますから、多くの英語の音声ファイルは、データベース化することができるようになってきているように思います。それをダウンロードするとか英会話サービスの補助に使うようなことを考えているところです。考え方のフレームとしては、マクロの市場規模がある程度あって、既存のやり方よりもコストが低くて分量が取れる分野を狙うということになります。まだちょっとモデルはできていないのですが、医療検索エンジンなども手がけてみたい分野ですね。
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