【森本】 構造改革によって、日本はこういうユニークなスキームでやるのだ、ということを示せば、外国の関心は一気に高まっていくと思います。その主張を明確にできるベンチャーキャピタルが重要なのだと思います。
【鴇田】 日本のベンチャーキャピタルの役割を整理すれば、これまでの機能でも社会的役割は果たしてきたと思います。ただ、残念なのは、世界に飛躍するような大型のベンチャー企業がなかったということです。育ちにくかったわけですね。
【森本】 だから、こうすれば育つ、ということを示せばいいのですね。そういうことを発信していかなければならないですね。
【鴇田】 そうなのです。代表的なベンチャー企業が1社でも2社でも出てくると社会的認知も高まっていきます。だから、アントレプレナーを輩出するお国柄を作っていかなければなりません。
【森本】 日本では、一方で極端な金あまりで、一方で極端な運用難があるわけです。また、この国での資金調達は無理だ、という話になっていて、これはすごくおかしな話だと思うのです。しかし、外国から見ると明らかに日本には投資機会があるのに、そこに出会えない、というわけです。投資機会を明らかにしてくれれば、アカウントがつくということなのじゃないかと思います。日本固有の自信を持ったモデルというものを作らないといけません。
【鴇田】 バイオの話ですと、あまりにもハイリスクゾーンで投資をしすぎたということがあります。あるいは、最初からシンジケーションを組むなどのシナリオができてなかったともいえます。
【森本】 私は銀行系のベンチャーキャピタルは割と好きなのです。融資先を作るという目的性があるじゃないですか。投資先が育てば銀行の融資先ができますから。
【鴇田】 シナジー効果が生まれるということですね。
【森本】 そうです。エクイティの安全性も高いですね。そこが日本モデルなのではないかと思うのです。それはミドルリスク・ミドルリターンという形かもしれませんけど、リスクが押さえられれば非常にいい投資形態になると思います。
【鴇田】 リスク分散すれば、かなりのハイリターンも可能ですよね。日本のベンチャーキャピタルだって、そこそこの資産形成はできているのです。
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