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VC vision
前編 後編
第31回 グローバルなベンチャーの架け橋となる 前編 時代性を読んだ投資
グローブスパン・キャピタル・パートナーズは、
日本の最大手のベンチャーキャピタルであるジャフコの、
米国でのベンチャー投資部門をスピンアウトさせて独立したベンチャーキャピタルである。
代表取締役社長のアンディ・P・ゴールドファーブ氏に、
その独立までの経緯から
グローブスパン・キャピタル・パートナーズの投資戦略について話をうかがった

interviewer:森本紀行(ベンチャー座アドバイザー、HCアセットマネジメント代表取締役社長)
投資先事例

アジア投資とクリーンテック投資

【森本】 グローバルな投資を行われていますが、地域的な戦略はお持ちなのですか。
【アンディ】 事務所のあるボストン、パロアルトで全体の3分の1ずつの割合で投資をしています。それ以外の地域としては、米国の他地域のほか、カナダ、イスラエルなどへの投資も行っています。この地域は、大体全体の15%程度の比率で占められます。また、東京事務所のある日本を中心にして韓国、中国などのアジアへの投資も全体の15%くらいを占めています。投資方法は、投資先企業の90%以上に対して、我々が取締役として入って企業成長に寄与するスタイルをとっています。第5ファンドの投資金額は、総額3億8,000万ドルで、最小で250万ドル、最高だと1,500万ドルの投資を行っています。1社あたりの平均でいうと800万〜1,000万ドルの投資になります。投資先の担当はリーダーとサブリーダーの2人でチームを組んで行っています。一人の考えだけで投資実践を行うのではなくて、チームの中でお互いに考えを出し合って進めるスタイルです。
【森本】 4号ファンドと5号ファンドで、投資先の傾向に違いはありますか。
【アンディ】 この二つは、同じ戦略で設定したファンドですが、二つの違いがあります。一つは、5号ファンドではアジア投資を始めたことです。このファンドでは、日本、韓国、中国での投資実績を作ってきています。二つ目は、このファンドではじめてクリーンテックの分野への投資を始めたことです。それまでの4つの分野から5つの分野へ広がったのがこの第5ファンドです。
【森本】 5号ファンドの投資先は何件ぐらいありますか。
【アンディ】 35〜40社への投資を予定しています。

米国の生の情報をリアルタイムで

【森本】 ファンドのLPはどういった方々なのですか。
【アンディ】 日本、米国、ヨーロッパの各地域の投資家の方々から集めました。これらの投資家は公的年金基金、企業年金基金、大学基金、ファンドオブファンズなどで構成されています。地域、投資家の種類でバランスの取れた構成で集めるようにしています。
【森本】 アジア投資を始めた狙いは何ですか。
【アンディ】 我々のファンドの投資家には、日本の有名な大手企業も入っています。また、セカンドライフのサービスを提供するリンデンラボのような米国のベンチャー企業を日本の投資家に紹介して、日本のパートナーや顧客を見つけるアクティビティをしてきた経緯もあります。こうしたこれまでに培ってきた日本と米国のネットワークを使って、第5ファンドでは、日本を中心にしたアジア地域でのベンチャー投資をスタートさせました。
【森本】 日本のベンチャー企業への投資戦略はどのように描かれているのですか。
【アンディ】 分野、ステージについては、従来と同様のポートフォリオの位置付けで投資しています。ただ、我々の強みが何かといえば、米国の生の情報をリアルタイムでつかんでいることです。それは、米国で成功しているビジネスの事例を、日本市場に応用して、いち早く新しい市場を確立するチャンスを多く持っていることを意味します。また、我々が日本の投資家に米国の投資先を紹介することで、ベンチャーの人たちも我々に関心をむけてくれます。そこから日本での投資機会が生まれてきています。この米国のナレッジを生かしやすいポジションにいることを武器にして、日本のベンチャーに技術応用を提案したり、逆に日本のベンチャーの技術を米国の市場に持ち込むことが可能です。日本のベンチャー投資には、こうした視点から取り組んでいきたいと考えています。

後編 「後編 人心を読んだ投資」(9月17日発行)へ続く。


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