【森本】 安田企業投資という名称は、エヌイーディーの売却後にすぐつけられたものなのですか。
【糸川】 社名は1999年4月1日から現在のものになっています。安田火災海上保険では、安田火災ベンチャーキャピタルが1996年に設立されていて、安田生命にも安田キャピタルがありました。エヌイーディーの売却の話は、この両キャピタル会社が合併することを前提に進められていました。
【鈴木】 経過からいうと、安田火災ベンチャーキャピタルが当社の継続会社ということになります。
【森本】 「企業投資」というのは、珍しい名称ですね。
【糸川】 英語ではヤスダ・エンタープライズ・デベロップメントといいますが、エヌイーディーの日本エンタープライズ・デベロップメントを引き継いでいる形になります。それを日本語にしたときに「企業投資」という名称を使ったものです。
【森本】 新しく安田企業投資となった時に、どのようなベンチャーキャピタルを目指そうとしたのですか。
【鈴木】 基本的に当時は、生損保系のキャピタル会社という一つの括りがあったわけですが、そこでは、ある意味、政策的な投資も兼ねた部分があったと思います。エヌイーディーから事業を引き継いだときに、今後は純粋なベンチャーキャピタルとしてやっていこうという意識が強かったと思います。自己投資はせずに、ファンドで投資活動をやっていくスタイルを目指しました。ファンドは当然ながら、出資者へのリターンが最大の目的になりますから、そうすると、政策的な投資はありえないですからね。純粋なベンチャーキャピタル投資を作り上げるコンセプトでスタートしています。
【森本】 そのスタイルは、具体的にはどういう形で現在表れていますか。
【糸川】 エヌイーディーでの投資先は、どちらかというと銀行からの紹介案件がベースになっていましたが、安田企業投資となってからは、紹介はもちろん大切な要素なのですが、どちらかというと独立独歩型で案件の発掘を行っています。また、投資分野の専門性を磨いていくことに力を入れています。とくに2000年からはキャピタリストがそれぞれ得意分野を作っていくことを志向するようになっています。
【森本】 投資部門は、現在何名いらっしゃるのですか。
【糸川】 スタート当時、キャピタリストは25名くらいでしたが、現在は30名です。
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