【森本】 御社の投資スタイルからは、チームで動くというよりもキャピタリスト個人で動いているという印象を受けますが。
【鈴木】 現在、先端技術投資部と、投資部が1部から3部までありますが、各部を3〜4名で構成しています。そのほかにシニアキャピタリストとして、完全に単独で行動する者が4名います。あと米国に2名います。それから各部の部長はシニアキャピタリストと同等の存在ですが、その下にジュニアのキャピタリストが部長の指導を受けながら投資活動を行っています。先ほども申しましたが、各人で得意分野を持とう、ということですので、同じ分野を志向している人間で集めています。先端技術投資部にはハイテク関係に興味のある者、1部はサービス系、2部はライフサイエンス、3部はソフトウェアという形で分けられています。ただ、1部だからサービス系だけに投資をしているわけではなくて、それぞれフォーカスする得意分野を持ちながら、各種の業種への投資も同時に行える体制で投資を行っています。個々の動きの中で培ったネットワークである、キャピタリスト同士、会計会社、証券会社、ベンチャーキャピタル、コンサルタント、大学の先生などとのつながりで投資先を見つけてきて自分で投資するスタイルです。基本的にはキャピタリストがファインディングからイグジットまで自分で面倒を見ることになっていますから、かなり自主性を持たせた形になっています。
【森本】 審査も一人でするのですか。
【鈴木】 審査については、まず部内でのミーティングでパスした案件を案件検討会で検討するプロセスを踏みます。この案件検討会は、キャピタリストで構成しています。そこでのプレゼンで他のキャピタリストの意見を聞いて、その意見を踏まえて最終的な申請書をまとめて、投資委員会に諮る段取りです。意思決定は投資委員会が行い、案件検討会は参考意見を集める場として位置付けています。
【森本】 案件検討会にあげられる案件の数はどれくらいあるのですか。
【鈴木】 年間投資が80社としますと、案件検討会で検討される件数は、100社前後だと思います。各部の中でのディスカッションの結果、2割くらいは申請が保留にされていますね。
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