【森本】 これまで投資した先のうちIPOは何社ありますか。
【糸川】 IPOは145社です。
【森本】 イグジットに向けてはどういう考えで進めていますか。
【鈴木】 昨今のIPOの状況を考えると、IPOのみのイグジットを想定してファンド運営をしていたらうまく回らないことは明白です。これからは事業売却やM&Aも想定した投資をしていく考えでいます。今年の投資方針は、新しい投資に関しては、1億円以上、または、シェア10%以上を取る投資をしていこうという目標にしています。我々は毎年平均80社くらいに総額で50億円、1社平均で6,000万円くらいの投資をしてきましたが、それではハンズオンをするには多すぎてやりきれない面があります。優良な企業に絞って大きく投資をしていくことを方針化しました。昨今の状況を踏まえてじっくり選んで、シェアを大きく取ることでイグジットの際の発言権を増していく狙いです。IPO以外のイグジットのときに、発言力を大きくしておけば、実現もしやすくなりますから。
【森本】 種類株の活用も視野に入れていますか。
【鈴木】 はい。我々は米国での投資をしていますから、米国のファイナンスの形態はかなり熟知しています。日本の会社法が改正になって種類株が使えるようになったときに、どのようなことができるか、かなり研究もしました。そういうものを利用してIPO以外のイグジットのときでもリターンが確保できるような仕組みを作って投資することを行っています。当社がリードをとれば、可能な限り種類株を活用して、発言権を確保しながら投資しようと考えています。あと、もう一つ、業務推進部はいろいろな業務を担当しているのですが、M&A業務も一部行っています。そこの情報を活用して投資先に、M&Aの機会を設けていくこともしていきたいと思います。
【森本】 M&Aが実現した案件はあるのですか。
【鈴木】 ほとんど海外の事例ですが、数はまだ10件程度です。海外の場合は我々がリードをとっているわけではないので、結果としてM&Aになったというものにすぎません。国内では、積極的に動いて実現したケースは、まだ2件です。普通株で投資してイグジットをする際にM&Aを仕掛けるのは、結構難しいですね。社長が合意してくれないと話が前に進みませんから。今後は、M&Aを意識して種類株を活用していく計画ですから、M&Aの件数は増えていくものと考えています。
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