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Front Interview
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Vol.004 フューチャーベンチャーキャピタル株式会社 代表取締役社長 川分陽二第1話 創意工夫というエネルギー
コラム(1) パーソナル・データ(1)
人の心の動きは変わらない

 私の人生に最も大きな影響を与えたのは大学時代の放浪体験だったかもしれません。当時は小田実などの作家が好きで、よく彼らの著作物を読んでいました。その影響を受けて、大学3年の時にヨーロッパへ放浪の旅に出たことがあります。大韓航空機を使ってまずパリまで行き、そこから先はユーレイルパスを使ってあちらこちらの国を巡りました。西はスペインから東はトルコ、ギリシャまで。ユースホステルを使うこともありましたが、列車の中で寝ることも多かった貧乏旅行でした。
  この旅を通した数々の出会いで感じたことは、当たり前のことかもしれませんが、どこに行っても人間というのはみんな変わらない、同じものなのだということでした。どんな国の、どんな民族でも人の心の動きというものは大きく違わない、という確信を得ることができたのでした。


たまたま銀行に入ってしまった
 京都大学の法学部を卒業するときに、まず、大学教授を志して大学院を受けました。そのほか公務員試験、司法試験と続けて受けたのですが、ことごとく落ちてしまいました。1年間留年して大学院を受け直そうかと思ったぐらいで、じつはモラトリアムな学生だったのかもしれませんね。
  でも、結局は卒業して、住友銀行に入行することになるのです。それもたまたま家に居るときに、突然住友銀行から電報が届いて、ウチを受けに来いと言うので行ってみたらすんなりと決まってしまったのです。最初は、わざわざ高いお金をかけて電報を打ってくれたのだから、それほどまでに来てほしいということなのだろうと思って、受けてみなければならないと考えたわけです。あとで知ったことなのですが、当時、住友銀行は京都大学の法学部や経済学部の卒業見込み者全員にそのような電報を打っていたらしいのです。

銀行は本当に役に立っているのか
 住友銀行に入って、まず最初に配属されたのは新宿支店でした。所属は営業課でした。営業の仕事というと聞こえは良いのですが、窓口のすぐ後ろに座って伝票の入力をしたり、印鑑の照合をしたりしていました。銀行の仕事としては一番おもしろみのない仕事でした。同期はそうした部署に配属されても、次々と別の部署に異動していくなかで、私だけはずっとその部署にとどまっていました。この仕事をしていたのは約2年ほどで、同期の中では一番長かったようです。
  周囲の仕事ぶりを見ながらわかってきたのが、銀行というものは前例があれば何も考えずその通りにやるだけなのだ、ということでした。本当にお客様のほうを見ているのか、お客様のことを考えているのかという疑問もわいてきました。
  銀行の決算にしても、過去の株の価格を帳簿上操作して利益を出しているように思えました。そんなことをするぐらいならば、銀行を解散してしまって、そこでできた資金を何かに投資したほうがよほど効率がいいのではないか、と真剣に考えるようになりました。



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