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Vol.004 フューチャーベンチャーキャピタル株式会社 代表取締役社長 川分陽二第3話 ベンチャーキャピタルという必然
コラム(3) パーソナル・データ(3)
お金は多様な価値観を生みだす
 自分の口からお話しするのも妙かもしれませんが、ベンチャーキャピタルという仕事は本当におもしろい。それにやりがいを感じます。なにより起業家の方にも投資家の方にも喜んでもらえる仕事ですからね。それに私たち自身も「世の中のためになる仕事をしているのだ」「時代を変えていくのだ」という誇りが持てますから。企業を発掘してからリターンをもたらすまでには大変な時間がかかりますが、結果が出たときの喜びを考えると他に代えがたいものがあります。
  私自身、お金は多様な価値観を生みだす、オールマイティなものだと思っています。ベンチャーキャピタルという事業は、そのオールマイティなお金を提供できる存在なのです。特に現在の日本の金融機関の実情を鑑みると、ベンチャーキャピタルの活躍するフィールドは大きいし、これからもっともっと必要とされる存在になっていくであろうと思います。

企業に新しい命を吹き込む
 ベンチャー企業というとITやバイオ、または何か新しい技術を持った企業というイメージでとらえられますが、私はそういう通念にとらわれることなく、もっと広い視野でベンチャー企業を見ています。たとえば、これまで家業としてやってきた商売が、近代経営の手法を持ち込むだけで立派なベンチャーになりえるのです。ユニクロなどはそのいい例ですね。小さな商店の経営を引き継いだ息子さんが、そこに合理的な経営手法を取り入れてチェーン展開をし、あっという間に成長ステージに乗って大きくなりました。こうした例は他にも数多くあります。どんな企業でもベンチャーになりえる可能性を持っているということです。
  しかし、こうした志はあっても、お金がないと実際にはなかなか立ち上がっていけないものなのです。初期的な資金がないために新たな展開をはかることができない、アイデアを事業化することができないのです。現状、日本の金融機関は小さな企業のアイディアに対して積極的にお金を貸すことがほとんどありませんからね。そんな企業に手を差し伸べる、企業に新しい命を吹き込む、あるいは成長のスピードアップのお手伝いをする。それが私たちベンチャーキャピタルの役割だと思っています。

社会を代弁していくというビジネス
 ベンチャーキャピタルが果たすべきもうひとつの役割は、社会を代弁していくことだと思っています。ベンチャー企業の経営者に向かって、世の中の動きや、マーケットが考えていることを伝えていく義務があるのです。ではそれをどのように伝えていけばいいのか、マニュアルがあるわけではありません。自分自身の常識、そして経験や勘といったもので推し量るしかないのです。しかも、それなりに裏付けを得ることが必要です。
  また、ある事業が現状のマーケットだけではなく、新しいマーケットを生みだすポテンシャルを持っているかどうか、といったことを判断しなければならないケースもあります。インターネットを使った出前専門の会社を立ち上げたいという話がありました。こうしたニーズがあることはわかります。しかしビジネスとして成立するほどのニーズを掘り起こすことができるのでしょうか。
  このようなマーケットがあるのかどうかを調べるために、消費者に対するリサーチを行うこともあるのですが、消費者が本当のことを答えてくれているとはかぎらないのです。結局は自分たちで判断するしかないのです。




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