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Vol.004 フューチャーベンチャーキャピタル株式会社 代表取締役社長 川分陽二第4話 ベンチャーキャピタリストの育成
コラム(4) パーソナル・データ(4)
優秀なベンチャーキャピタリストを育てる
 まったく一人と言っていいような状態からはじめた、このベンチャーキャピタルの仕事ですが、おかげさまで事業規模も拡大し、新しい人を採用できるようにもなりました。あえてこの業界のことを何も知らない人を採用し、一から教えながら育てていくことを続けてきました。一緒に現場に行き、実際に投資をさせてみるということをやってきたのです。組織も大きくなってきたこともあり、チーム制を導入しようかと考えた時期がありました。しかし、その方法では仕事に対して無責任になるのではないかと思えたのです。
  そこで考えたのがペア制でした。年齢・経験のある人と若手を組ませて仕事を進めていこうとしたのです。若い人は経験のない分、あまい見通しを持ったりしますから、そこをベテランがしっかりと見ながらサポートしていくのです。こうしたチームプレーで同時に若手が育っていくことになると思ったのです。そこで、若手には実際に投資をさせています。成功すれば当然リターンがありますし、失敗したとしても何か掴むものはあるはずです。そうした経験を重ねながら育ってほしいという思いです。まだまだ制度も手直しをする必要があるかとは思っていますが、こうした人材育成に力を入れることで、優秀なベンチャーキャピタリストが育ってくることを願っています。
  我々の会社には審査部というものがありません。審査部があるとどうしても判断の権限をそこが握ってしまいがちになるからです。そうすると個人が育たない。ですから案件への投資にあたっては、あくまで判断するのは個人というスタイルを貫いています。実際には個人が判断して社内の委員会にかけることになっています。

本当にお客様のことを考えた金融機関を
 若いうちは、やはりお金のために働いていたという面が確かにありました。しかし、今の私の一番の夢は、この会社を日本一、世界一のベンチャーキャピタルにしたいということです。そして、社員やその家族に満足してもらえる会社にしたいということです。
  そして、さらにその先の目標としてあるのが総合金融機関を作ることです。かねてから日本の銀行は顧客ニーズに真剣に取り組んでいないという思いが強くありました。ならば批判するだけではなく自分で本当にお客様のことを考える金融機関を作りたいのです。
  それが銀行になるのか、それとも証券会社になるのかはまだわかりませんが。もちろんそれを目指してすぐに動くというわけにはいきません。ベンチャーキャピタルにはキーマン条項というものがありますから、10年間はしっかりと責任を持って運営していかなければなりません。その間は全力を尽くしてベストのリターンを目指します。 (了)

次号(7月5日発行)は、サンブリッジ代表取締役社長兼グループCEOのアレン・マイナーさんが登場いたします。



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