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Front Interview
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Vol.005 株式会社 サンブリッジ 代表取締役社長 兼グループCEO アレン マイナー第3話 人を活かす、人脈を活かす
コラム(3) パーソナル・データ(3)
自分はマネジメントに向いていない
 日本オラクルのマネージャーをしていた頃、自分はマネジメントに向いていないのではないかと感じ始めていました。僕の場合は、自分がマネジメントをするより、マネジメントに向いている人を巻き込んで仕事を進めていくほうがいいのではないかと思い始めるようになったのです。
  ちょうどその頃、日本オラクルをさらに大きくするために、社長をヘッドハンティングすることになりました。そして、次なる発展と展開を任せられる社長に引き継ぐことができたら、本社に戻るつもりでした。僕はその一次面接の担当となったのです。面接には焦らずじっくりと時間をかけました。お会いしたのは40人ほどだったでしょうか。そこに現れたのが佐野さん(佐野力・現サンブリッジ取締役/元日本オラクル代表取締役会長兼CEO)でした。佐野さんはとても優秀な方で、仕事の面だけではなく人間的にも尊敬できる人でした。この人が社長をやるなら、本社に戻るよりも彼の下で働いてみたいと思ったぐらいでした。

That's very interesting
 佐野さんが日本オラクルの社長として手がけた中で、もっともユニークだったことのひとつは、犬を社員にしたことでしょう。社長になった最初の予算会議では、彼が月30万円の「スペシャルエクスペンス」という項目を上げたのです。みんなで集まって予算会議をしていたときに、僕たちはその項目がいったい何に使うものかわからなくて、「これは何ですか」と聞くと、佐野さんは「犬を社員にするのだ」とこともなげに言うわけです。
  僕は、オラクルの国際部門の責任者であるジェフ・スクワイアーが日本に来てこの予算を見たら何と言うだろうと思っていました。案の定、日本の予算会議でジェフもこのスペシャルエクスペンスについて質問をしたのですが、佐野さんはいつもと変わらぬ表情で「犬を社員にする」と言っただけでした。そして、ジェフも「That's very interesting」と言っただけでした。ジェフは、優秀な人材を集めることを徹底し、目標を達成できるかどうかについては厳しかったのですが、その方法については、すべて現地の責任者に任せてくれたというわけです。そして、日本オラクルの社員犬のことはマスコミに大きく取り上げられることになり、日本における知名度の向上に大いに役立ってくれたわけです。




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