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第1話 第2話
第3話 第4話
Vol.005 株式会社 サンブリッジ 代表取締役社長 兼グループCEO アレン マイナー第4話 人のために役に立つ
コラム(4) パーソナル・データ(4)
企業を成功させ、経営者を成功させる
 僕が日本で本格的に事業を始めた2000年頃は、まだまだ規制緩和が進んでおらず、ジャスダックもそれほど機能してはいませんでした。ベンチャーキャピタルにとっては、あまり恵まれた環境ではなかったわけです。しかし、ずっと日本のベンチャーにこだわり続けてきて、今は正解だったと思っています。
  サンブリッジは一般的にはベンチャーキャピタルと呼ばれていますが、単に投資をしていくら儲けるかだけを考えている会社ではありません。ひと言で言うとサービスカンパニーだと思っています。投資するだけではなくビジネス上のサポートをすることで、企業を成功させたい、経営者を成功させたいと思っているのです。。僕が子供の頃から両親に教わった「人のために役に立つ」という思いを僕なりに形にしたものでもあるのです。
  またサンブリッジは日本のためにも役立つ会社でありたいと考えています。日本のベンチャー育成システムとして一定の役割を果たしていきたいと願っていますし、それ以外にも、日本社会にどのように貢献できるだろうかということを常に考えています。

技術・マーケティング・人材の支援会社を作る
 日本でビジネスをやろうと決意したあと、サンブリッジの構想が現在の形にまとまるまでには1年ぐらいかかりました。最初の頃はインターネットビジネスとして本屋をはじめ、オークション、証券、老人向けポータルサービスなどいくつかのアイデアがあがり、準備に取りかかったものもありました。しかし、数々のブレインストーミングを重ねる内に、自分たちで事業を立ち上げるのではなくてインキュベーターとして関わっていく道があることが見えてきたのです。
  ベンチャー企業の創業期に必要とされるものは資金だけではないのです。優れたビジネスアイデアを持ってはいても、それをシステム化していくための技術開発力が欠けていたり、秀でた製品を開発しても、それを販売していくマーケティング力がなかったり、優秀な人材の確保に苦労したりすることがあります。こうしてベンチャー企業に対する投資業務だけではなく、マーケティング支援、技術支援、および組織開発支援の4つを事業の柱とすることに決定したのです。
  事業計画段階から一緒だった永山(永山隆昭・現サンブリッジ代表取締役副社長兼グループCOO)、そして、投資先候補の社長として声をかけていた石橋(石橋愼一郎・現サンブリッジ取締役)を共同創業者として、平成11年12月に株式会社サンブリッジがスタートしたのです。

スピーディに、かつ我慢強く
 サンブリッジを設立してから、日本と米国におけるベンチャーやベンチャーキャピタルの違いというものを強く感じるようになりました。どこに大きな違いがあるかといいますと、企業の可能性を短期で考えるか長期で考えるかというところではないでしょうか。
  たとえば3年経って投資先企業が成功しなければ、米国なら「これはだめだ」「無駄だ」と判断して、すぐに倒産させたり、売却したり、あきらめたりしてしまいます。起業家のほうもしたたかなもので、すぐに次の会社を立ち上げたりします。米国でベンチャー企業が次々に生まれているというのは、同じ人が成功するまで何度も会社を設立しては潰し、潰しては設立しているからということもあります。
  でも日本の場合は、5年でも10年でも時間をかけて一生懸命に企業に関わっていきますね。普通はだめだとあきらめるような状態の企業にも入れ込んで、組織作りを手伝ったりしています。私は、スピーディに、正しい意志決定を行うようにしていますが、しかし一方で我慢強く動くよう心がけることも忘れないように務めています。




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