日本アセアン投資に入って最初に困ったことが営業でした。日立製作所時代は「日立」の看板を背負っているわけで、日立製作所ですと名乗れば、丸紅さんだろうが伊藤忠さんだろうが、たいていの人は「話ぐらいは聞こうか」と会ってくれるわけです。でも日本アセアン投資の名前ではそうおいそれとは会ってくれないのです。
今でも思い出しますが、名刺を出して挨拶をしても、「結構です」とか、「間に合っています」とか言われたりするのです。こちらがお金を出そうとしているのに、間に合っているということは、お金が充分にありますということなのかな、などと考えていたのです。ところが、じつは、私の名刺には「日本アセアン投資」と書いてあるので、相手は、社名に「投資」という二文字が入っているので、ワンルームマンションや金、商品先物などの営業だと思っていたのですね。たしかに、その手の会社も投資会社を名乗っていましたからね。日立の頃とはずいぶん違うなと思いました。世の中はそんなに甘くないぞと思い知らされました。
|