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Vol.006 日本アジア投資株式会社 代表取締役社長  立岡登與次第4話 ベンチャーキャピタルをリードする
コラム(4) パーソナル・データ(4)
計り知れない社長業の奥深さ
 近年、ベンチャーキャピタルの現場の仕事は、若い人でなければダメだなと痛切に感じています。私はそもそも物理学科の卒業ですから、光関係とかナノテク、あるいはエレクトロニクスについてはある程度はわかっているという自信はあったのです。ところが、今のネット関係のIT技術になると隔絶の感を抱かざるをえません。ウエッブ2.0といわれても、正直どういうものなのかがよく理解できません。実際、投資のための分析や監査の資料などを見ても、見たことも聞いたこともない単語が並んでいることもあります。IT分野では、若い人たちにかなわないと思っています。
  反面、最近の若い人を見ていると、何事もメールですませてしまう人が多いですね。社内でもすぐ近くの席にいる相手にメールでやりとりをする社員がいます。伝えたいことがあるなら、直接、面と向かって言えばよいのにと思います。 
  私自身も、昔は引っ込み思案で人前に出るのが嫌なほうでした。しかし、今はじつに数多くの人たちと会っています。弊社は年間100社程度の企業に投資をしていますので、案件数でいえば、その5倍、年間500人ぐらいの人にお会いしている計算になります。そのほか投資家やマスコミ関係などあらゆる方々ともお会いしていますから。
  そしてなにより、社長と呼ばれる方々と数多く接する機会があります。いつも思うことですが、サラリーマンの最終目標として社長になられた方と、みずからリスクを冒して起業された方とでは、同じ社長という肩書きであっても、大きな違いがあると思います。私自身、社長というものの大変さは自分が社長になって初めて知りました。みずからリスクを取って社長を続けてこられた方は心底、尊敬に値します。

人にはじまり、人に終わる
 社長になってもうひとつ大変なことだとわかったのが人の問題です。経営者として人事にかなりの時間を割いています。採用、異動、評価と、社長になってからは人のことばかり考えています。とくに今は人材が足りない状態ですから、人の採用には多大な時間が取られています。昨日も2件中途採用の面接をしたところです。
  弊社の社風は、上下関係なく何でも言い合えるところだと思います。新卒で入ってきても、経営者の方々と毎日お会いして、貴重な経営の話をお聞きすることができ、しかも、自分の責任で3,000万円まで(現在では3,000万円から5,000万円に変更)を無担保で投資することができるわけです。どんな大きな銀行でも若手にそれほど大きな権限を委譲するところはありませんが、弊社ではそれがごく普通のこととなっていますから。
  そういう経験を積んでいるので、弊社の社員は年端は行かなくても、精神的には大人というか、しっかりしています。入社して1年も経てば顔つきがまったく変わってきています。社長である私にも直球勝負を挑んできます。他の会社の方がご覧になると、弊社の若手は「礼儀を知らない」「上司に向かって何て口の利き方をするのだ」といったように思われるかもしれません。
  私の社長室も本当のガラス張りにしつらえました。オフィスも現在の200人ができるだけワンフロアに入れるようなスペースを持ったビルを選びました。複数フロアになってスペースがたくさんに分かれると、社員の心も離れてしまいますからね。フロアごとに別の言葉や文化が生まれてしまいます。




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