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Vol.006 日本アジア投資株式会社 代表取締役社長  立岡登與次第2話 艱難辛苦の営業道
コラム(2) パーソナル・データ(2)
恥ずかしさ、悔しさをバネにして
 入社当初の直属の上司だったのが齋藤篤専務でした。この方には本当に厳しく鍛えられました。毎日毎日、部下の前でその日の報告をさせられるのです。中途半端な営業をしていたりするとみんなの前で、大声で叱られるのです。何日も続くと、もう嫌になってきまして、いっそ専務の頭をガツンとやって、会社を辞めてしまおうと思い詰めたこともありました。
  でも、もうこれ以上叱られるのが嫌だから、何とか結果を出そうとお客様の所へ営業に出かけるわけです。そして、何か成果を持って帰らなくてはいけないと、必死になる。こんな地べたを這いずり回るような営業を続けているうちに、良い案件を発掘したり、投資実績を作ることができるようになっていたのです。
  ある日、仕事と向き合っている自分の肩から力が抜けていることに気が付いたのです。妙な気負いや、日立時代に持っていた妙なプライドのようなものがきれいさっぱりとなくなっていたのですね。

名古屋支店を立ち上げる
 本社での約一年間の投資営業を経験して、ようやく営業の仕事でもやっていけるかなという自信がついた頃、会社から「名古屋支店を立ち上げるので支店長を」という辞令が下りました。そして、部下一人を連れて、ゼロから名古屋支店をスタートさせました。ここでも齋藤専務からの厳しい教育は続きました。毎朝、本社にいるときと同じ調子で東京から電話がかかってくるのです。気を緩めるわけにはいかないですよね。
  名古屋支店での業務は中部地区企業のアジア進出をサポートするというものでした。海外進出企業便覧をもとに、一社一社訪問するわけです。名古屋市内だけでなく岡崎とか浜松の企業へも出向きました。
  もちろんトヨタへも行きました。トヨタの担当者の方と話をしていると、どこか話がかみ合わないのです。途中で相手から「どれくらい投資していただけるのですか」と聞かれました。こちらは1億円から2億円程度の話をしているのですがと答えると、相手は驚きあきれて、「それでは、けっこうです。弊社ではライン一つ作るのに200億円かかりますから」。まあ、そんな経験もありました。
(8月16日更新 第3話「一気通貫のベンチャーキャピタリスト」へつづく)




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