私が独立をしたのは35歳の時でした。なぜその年齢であったのかといいますと、当時はまだ独身でしたし、もし起業家としての才能がなくても、その歳ならやり直せるだろうという思いがあったからです。起業というものはそれまでのキャリアが通用しませんし、雑巾がけを一からやる覚悟もいります。そうしたことに精神的に耐えられる最後の歳だろうとも思っていたからです。
もちろんすんなりと興銀を辞められたわけではありません。人事のローテーションもありましたから。独立を決めた年というのは、ちょうど入社10年目にあたり、2週間のサバティカルを貰うことができました。それを使って米国を回り、ポテンシャルパートナーに挨拶をして回りました。そして、実際に興銀を退職したのは1991年12月のことでした。
実は会社を設立したのも興銀に勤めていた1991年7月なのです。そして、ビジネスのための経費を落とすには会社を設立していなければならなかったからです。そんな理由もあって、興銀人事部に正式に了解をいただいてから、両親を取締役にして会社を設立しました。興銀には通算で11年間在籍したことになります。留学もさせていただいたし、人事で無理も聞いていただいた。いろいろな意味でお世話になったので、興銀には今も感謝しています。 |