興銀を退職して立ち上げたのが、財務コンサルタント会社のグローバル・リンク・アソシエイツでした。意気揚々と独立はしたものの、それからが実は大変でした。創業したのが1992年で、ちょうどバブル崩壊にぶつかってしまったわけです。ご存じの通り、それから日本経済はとんでもない停滞期に入ってしまいました。そんな最悪の環境の時に会社を始めてしまったわけですから、苦労するのも当たり前ですね。あの時代は、どんなに良いコンセプトで、どんなドリームチームを作って会社を始めたとしても苦労したと思います。創業してからしばらく、30代後半は本当に辛酸をなめました。
独立して思い知らされたのは、「グローバル・リンク」の名刺を出しても相手にされないという現実でした。興銀の名刺を出していた頃には、誰でも「ああ、存じ上げていますよ。上司の誰々さんはお元気ですか」という具合に、営業をしてもすんなり入っていけました。ところが「グローバル・リンク」の名刺では怪訝な表情をされるだけで、まったく相手にされないのです。
しかし半年もすると、こちらも開き直れたのか、相手が知らないなら逆にPRのチャンスだと前向きに考えるようにしました。名刺を出して、相手に聞かれる前に「ご存じないと思いますよ。先日、私が作ったばかりの会社ですから」と言うようになっていました。 |