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Vol.008 エル・ピー・エル日本証券株式会社 代表取締役社長 米田 隆第3話 艱難、汝を玉にす
コラム(3) パーソナル・データ(3)
グローバル・ベンチャー・キャピタル誕生
 もう一つ、アライアンス(連携)の重要性も意識するようになりました。独立後、間もないうちは一人で何でもできると思いこんでいましたが、現実には周りの方々と協力していかなければ仕事は進んでいきません。ですから今は周りの人と良い関係を作ることに力を注いでいます。実際、周りの人たちと協力することで初めてビジネスというのは成功するんだ、上手く回っていくんだと言うことを実感しています。
 グローバル・リンクの仕事が何とか回るようになった頃、野村総研におられた長谷川博和さんが訪ねてこられました。彼とはある勉強会を通じて知り合った仲だったのですが、「35歳を迎えたので自分も独立したい」と相談にこられたのです。それで私も彼の独立に協力することになりました。
  長谷川さんともう一人、米国人弁護士であるマイケル・J・コバーさんなどが参加して1996年に作った会社がグローバル・ベンチャー・キャピタルです。ここでは第1号のファンドとして7億5,000万円を集め、ベンチャー企業への投資を行いました。これがわずか3年半で80億円のキャピタルゲインになるという大成功を収めました。グローバル・ベンチャー・キャピタルの投資は順調で、今は第4号ファンドを行っています。  

消費者が求めることは必ず成功する
 そのあとに作ったのが現在のエル・ピー・エル日本証券です。この会社を作るきっかけというのは、東京ファイナンシャルプランナーズの社長だった川田規人(現鹿鳴プランニング代表、オールアバウトファイナンシャルサービス社長)さんからの相談でした。FP(ファイナンシャル・プランナー)教育をしていた川田さんから「FPはプランニング業務だけでは食べていけない。それだけで独立できるような仕事にできないだろうか」とご相談を受けました。それで米国の実情を調べてみたわけです。米国のFPというのは単に相談業務を行っているだけではなく、退職金などの資産運用に積極的にからんでいる、リタイアメントアドバイザーとなっていることがわかりました。
 1998年には、川田さんと一緒にこの米国のFP事情を調べに現地へ行きました。そこで出会ったのが業界ナンバーワンであったLPLの会長トッド・ロビンソンでした。米国のLPLは独立系の証券会社で、金融機関の商品を売り込むのではなく、顧客の立場に立ったアドバイスと金融商品の購買代理をしていたわけです。このコンセプトに感心しまして、ぜひ日本にもこうしたビジネスを根付かせたいと考えました。
  ですから、エル・ピー・エル日本証券は単なる証券会社ではなく、消費者の立場になって金融商品の購買代理を行う流通企業です。消費者が求めることだから必ず成功するという確信がありました。実はLPLファイナンシャル・サービスを日本に設立する際には、グローバル・ベンチャー・キャピタルから出資させてほしいというお願いをしたのです。しかしトッドから、それはダメだと、逆に日本のCEOをやってほしいと要請されたわけです。それで現在に至っているというわけです。
(10月25日更新 第4話「パーソナルブランドの時代」へつづく)  



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