日本にベンチャービジネスという言葉を定着させたのは中村秀一郎(元多摩大学学長)さんや、清成忠雄(元法政大学総長)さんの研究グループと通産省の政策担当者の方々が一緒になって定義させたのだと思います。中村さんや清成さんが中心になって、ベンチャービジネスとはいかなるものか、その概念を規定し政策にも大きな影響を与えてきました。じつはこの概念が先行してしまったことでいくつかの問題が出ているのではないかと考えています。
たとえば米国へ行ってみるとわかりますが、「ベンチャービジネス」という言葉はありません。それでは米国ではベンチャーキャピタルは何に投資をしているのかという話になりますが、基本的には儲かる中小企業、成長すると思える会社に投資しているわけです。そういう点では日本ではベンチャービジネスという概念が先行してしまったばかりに、起業する側も投資をする側も、ちょっと堅苦しく考えすぎている面があるのかもしれません。 |