この10年ほどで、ベンチャーキャピタルを取り巻く環境は大きく変わりました。私がベンチャーキャピタルに関わり始めた頃は、入れ物はあるが制度やインフラが整っていないという状態でした。しかし橋本総理から小泉総理と続いた様々な経済政策、規制緩和がベンチャーキャピタルにとっての追い風となっています。安倍総理も小泉総理の改革路線を継承すると言っていますから、この流れは止まらないでしょう。まさに池田内閣以来の成長政策によって、日本経済や企業の成長を後押ししようとしているのです。今後、日本のベンチャーキャピタルは、米国以上の運用成績が上がるようになると私は信じています。
この日本でベンチャーキャピタルが成功するためには、投資を受けるベンチャー企業側に解決していただきたい課題があります。日本の中小企業(未登録会社)には、これまで計算基準と会計義務の根拠法がなく、企業にとっての財務会計はないも同然でした。幸い2006年、新しく会社法が施行され根拠法ができたほか、企業会計に責任を持つ会計参与も制度化されました。これは、ちゃんとした会計原則に則って決算をしないものは会社ではありませんと言っているのと同じです。日本の会社にとっては大変な変革です。今後は、会計参与を置かない会社はベンチャーキャピタルから投資を受けられないという状況に徐々に変わっていくでしょう。 |