家業の酒問屋での修業時代、父から教えられたことで一番心に残った言葉が、「ビジネスは『権利』と『義務』と『責任』がはっきりしていないといけない」でした。とくに営業を始めてからは「お前は金を受け取る権利がある。相手には支払う義務がある。これは契約なのだ」「お前は権利をしっかりと主張しなさい。そこを曖昧にしてはいけない」「曖昧なビジネスなどない」ということをよく聞かされました。
ビジネスというものには「売る側」と「買う側」があります。そして、本来その関係は対等なものです。私が酒を売った相手に対しては、しっかりと権利を主張しなければいけない。もちろん売る側の私にも、「美味しい酒を納入する」という義務があります。しかし買う側が大変強いのが実情です。「お前は納入業者なのだから、オレの言うことはなんでも聞け」といわれて、それをそのまま聞いてしまう人があまりに多い。それはビジネスとはいえないですね。 |