今、セコムの国内の事業所は、北は稚内から、南は石垣島まで広がっています。あるセコムの社員がお客様の所に機械のメンテナンスで伺い、缶入りのお茶を出されたそうですが、その社員は決してそれに口を付けなかったそうです。そのお客様がたまたま私の友人であったため知りえた話なのです。その友人から、「君の社員はお茶を出されたそうだが、缶入りだから飲まなかったのかね」と聞かれました。もちろん、そのようなことはありません。言下に「うちの社員たちは、仕事に臨んでいるときはどんなものを出されても口にはしないんだよ」と答えました。しかし、この話を聞いたときはほんとうに嬉しかったですね。私の目の届かないところでも、社員はちゃんと規範に則って正しい行いをしているのだと知ることができたからです。
セコムは人々の安全を守るというセキュリティの会社です。そのためにはまず、人から信頼されなければいけません。だからこそ、社員一人一人が、間違ったことをしてはいけないし、品格を持たなければなりません。私が考えているセコムのカルチャーは全体に浸透したと思っています。まず安心していられますね。
セコムの理念の第一に「正しさの追求」があります。この「正しさ」ということは、セコムにとって正しいのではなく、まず社会にとって正しいことを追求するという意味です。もしかするとセコムにとって正しくても、社会にとっては正しくないことがあるかもしれません。その時には、「社会にとって正しいと思われることをしなさい」と社員には話しています。セコムの教育の基本は「セコムの社員である前に人間である」ということです。
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