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Vol.011 セコム株式会社 取締役最高顧問 飯田亮第4話 育て、育てられ
コラム(4) パーソナル・データ(4)
おのれを信じ続ける
 企業を語るときに、よく聞く言葉に「差別化」というものがあります。私はこの言葉が大嫌いです。差別化とは結局、他より少しいいというだけのものにすぎません。そこには独創性のかけらもない。なんだか「せせこましく」て「情けない」言葉だと思います。セコムの辞書には差別化なんていう言葉はありません。
  それから起業家に必要なものは「へこたれない」精神です。どんな困難な時でも「俺は幸運だ」「俺は強運だ」とおのれを信じ続けるのです、そう思い込める人だけが成功します。また、社員というものは常に経営者を見ているものです。経営者が「俺は強運だ」と思い込むことができれば、社員もそれを見て「うちの会社は大丈夫だ」と確信して仕事に励むようになってきます。

社会への恩返し
 私は今、NVCC(日本ベンチャーキャピタル株式会社)の取締役として、若手起業家の育成にも関わっています。しかし私個人が直接どこかのベンチャー企業に投資をするということはしていません。それは結局、私が起業家ではあっても、投資家ではないからです。いくらお金があっても投資というものにはあまり興味を持てません。自分の手で事業をするほうがずっと楽しいですよ。
  そうはいってもベンチャーキャピタルに関わっている関係上、投資をしてほしいという若い人の話を聞く機会は多々あります。私が、そんな彼らのどこを見ているのかというと、最後までやり抜ける人間であるかどうか、というところです。そして、そういう決意をした目をしているかどうかを見ます。
  彼らの話を聞いていると、たとえば最初から上場だけが目的の人もいます。そんな相手に対しては、すぐにお引き取り願いたい気持ちにもなりますが、実際には我慢して最後まで話を聞きます。人の人生観というのは様々であり、私と違うからといってそこで結論づけてしまうのは、いかがなものかと考えるものですから。また、求められればアドバイスもしています。私は創業以来、様々な方にアドバイスをいただいたことで、今の地位があると思っています。そのことに対して少しでも社会に恩返ししたい。恩返ししなければいけないと思っているからです。

次号(2007年2月7日発行)は、三井法律事務所の三井拓秀さんが登場いたします。



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