米国での留学先はコロンビア大学のロースクールでした。あちらのロースクールは教員として実務家が来たりしていますから、日本よりは実務に近いことが学べます。ロースクールを修了すると今度は、実際にビジネスの現場を体験したくてニューヨークの法律事務所に所属することにしました。この事務所には1983年から1984年までいました。しかしあくまでも法律事務所ですから、なかなか現場まで入り込むチャンスはありませんでした。
この法律事務所に勤めてわかったのですが、顧客として米国企業と日本企業とでは明らかに取り扱いに差がありました。米国の弁護士にとって一流の顧客というのは、やはり米国の一流企業なわけです。いくら日本で一流の企業であっても、米国の弁護士にとってはファーストランクにはならない。
しかし、日本の企業というのはお金の払いは良いですから、良いお客様であることに間違いはないのです。ところがリスペクト(尊敬)はされていないのです。米国で生活していると、日本の会社の商品を買ったりサービスを受けたりすることは常識になっています。それでも扱いは違う。「なるほど、日本はこういうあしらいを受けているのか」と思いましたね。 |