1986年に設立した事務所というのは私たちをコーディネートしてくれた方の看板を借りて仕事をするという形でした。当時は私たちの名前は出ていませんでした。1988年にはその方からも独立して、三井安田法律事務所を設立することになりました。独立したのは折しもバブルの全盛時代でした。これも運ですね。これから来るぞという思いはなかったのですが、マーケットは沸騰状態になりました。設立した弁護士事務所もどんどん大きくなりました。
三井安田法律事務所は最盛期で、弁護士が75人ぐらい所属していました。当時はより多く集めれば良いだろう、大きくしなければいけないのだという考えに取り憑かれていてとにかく人数を集めました。しかし、仕事をしている中で、ふと、それは間違いではないかと気が付いたのです。それが今の事務所を設立する転機になりました。
なぜ大きな組織に疑問を感じたのかといいますと、まず時間がかかるというのがありました。弁護士事務所というのはパートナーシップですから、ことにあたるにはパートナーの全員にはからなければならないのです。少人数でやっているうちはいいのですが、ニーズに応えて人数を増やしていくと、全員の了解を得るためにどんどん時間がかかるようになっていくわけです。組織として動きが遅くなっていくのです。
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