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Front Interview
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Vol.012 三井法律事務所 弁護士 代表パートナー 三井拓秀第3話 起業弁護士
コラム(3) パーソナル・データ(3)
さらなるスタート
 そこで、三井安田法律事務所を解散して、2004年に三井法律事務所を作りました。仕事はこれまでと同様に企業、金融分野に特化した事務所で、現在15人の弁護士がいます。メンバーは以前に比べるとずいぶんと少なくなりました。しかし、この分野に取り組むには不足がないという意識からスタートを決断しました。
  こうした気持ちになったのは、私自身が東京銀行に勤務して弁護士を使う立場、顧客の立場に立った経験が大きく作用していると思います。お客様のほうから弁護士事務所を見ると、"大きな事務所に頼めば安心"という面は確かにあるかもしれません。しかし、これは実際のサービスとはあまり関係ありません。たとえば小さい事務所でも「この人に相談したい」という人がいる事務所のほうがありがたかったりするわけです。結局、相談したい弁護士というのは少数でしかないというのが実態です。
  また、人数が100人いる法律事務所でも、全員が一つの取引に取り組むということは実際にはありません。現在、大勢の弁護士が必要になる仕事というとM&Aやその相談業務でしょうが、本当に重要な判断をしているのは1人か2人ですし、人数が必要なのは時間をシェアするためという要素が強いからです。それに、たくさんの弁護士が集まって、みんなで討議すれば正しい回答が出てくるというものでもないですからね。
  もう一つ、私自身が独立の際に考えたのは、"チーム全員が見渡せる"ということでした。いくらインターネットのような情報伝達手段が普及しても、最後は人と人との肌のふれあいが感じられる、そうしたものや関係をチームとして大切にしたかったということです。

弁護士はサービス業
 私が弁護士を使う立場に立って感じたことは「弁護士というのは使いにくい」ということでした。たとえば朝一番で仕事の電話をしてもいない。大事な相談をしようと思っているのに遅刻してくる。本人にすれば「昨日徹夜をしたから」などいろいろな言い訳はあるのでしょうが。
  弁護士というものは、ただ資格を持っているだけで、偉いわけでも何でもないと思っています。お客様との関係では一般の社会人同士として良い関係を作る必要がありますし、それに必要なのはサービスだと思っています。たとえば、どういうサービスが気が利いているのか、回答はどういうタイミングで投げたらいいのか、請求書を出すタイミングもありますね。そんなことを考えることが実はユーザーにとって大切だと実感していました。
  実はそうしたことまで考えてできる弁護士というのは限られていると思います。これは弁護士という資格制度に問題があるのかもしれないですね。試験に受かって弁護士になるわけですが、それだけで、あとは普通のビジネスを知ってるわけでもない、ビジネスのセンスを持っているわけでもないですからね。
  あとお客様と弁護士の波長というか相性もありますね。今うちの事務所にやってくるお客様というのは、基本的には「ご紹介」というベースがほとんどです。ですから「テレビで名前を見たから頼みますよ」という人々のお仕事はお断りすることにしています。

(2月28日更新 第4話「リスク&チャレンジ」へつづく)  



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