これまで日本は営々と良い物を作って、それを輸出して、しかし、取りぱぐれていました。実は世界には代金を払わないようなやからもいっぱいいるわけです。日本人なら「今日は期日だから借金を返さなければいけない」という感覚になるのでしょうが、「取りに来ないのだから払わなくてもいいだろう」と平気ですませてしまう人々もいます。
私は、湾岸戦争前にイラクへ債権回収の仕事で行ったことがあります。基本的にはイラクの銀行がLC(信用状)を出しているため、それを信じて輸出しているのですが、イラクの銀行がそれを履行しない。金を払ってくれないわけです。債権だけで1兆円ほどあったと思います。
それでイラクが輸出した石油代金の支払いを貯めて、そこから日本の商品の代金を相殺するオイルスキームをつくりました。実は先進国間でパリクラブの協定があって、そういうことはできないことになっていたのです。ところが、私たちが交渉に行ってみれば、前にはドイツがいる、後ろではカナダが待っているというぐあいに、みんな同じ方法でやっているわけですよ。そうした社会であるということも知っておく必要はあると思います。 |