イトーヨーカ堂の仕事をする前の私というのは、伊藤忠の社内では営業成績が良かったので自信満々でした。しかしイトーヨーカ堂やセブンイレブンが利益を出す仕組みを間近に見ることで、自分のそれまでの商売がいかに安易なものだったのかということに気づかされたのです。イトーヨーカ堂やセブンイレブンは5円、10円という単位で、どうやったら利益が出るかを考え抜いているわけです。そのためのノウハウを開発し、そのすべてを自社で握っていたように思います。
一方、当時の私の商売はというと、安い商品があればそれを買い取り、高く売り抜けることしか考えていなかった。取引先に電話をかけて「いくらで買えるの」と聞く。話が決まればビジネスクラスで海外へ飛んでいって商売をまとめる。でも結局そんな商売って、実を伴っていないものなのだなと感じ始めたわけです。 |