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Vol.013 株式会社リヴァンプ 代表パートナー 澤田貴司第2話 商売に開眼する
コラム(2) パーソナル・データ(2)
本当の商売と出合う
 イトーヨーカ堂の仕事をする前の私というのは、伊藤忠の社内では営業成績が良かったので自信満々でした。しかしイトーヨーカ堂やセブンイレブンが利益を出す仕組みを間近に見ることで、自分のそれまでの商売がいかに安易なものだったのかということに気づかされたのです。イトーヨーカ堂やセブンイレブンは5円、10円という単位で、どうやったら利益が出るかを考え抜いているわけです。そのためのノウハウを開発し、そのすべてを自社で握っていたように思います。
  一方、当時の私の商売はというと、安い商品があればそれを買い取り、高く売り抜けることしか考えていなかった。取引先に電話をかけて「いくらで買えるの」と聞く。話が決まればビジネスクラスで海外へ飛んでいって商売をまとめる。でも結局そんな商売って、実を伴っていないものなのだなと感じ始めたわけです。

39歳の転機
 私はイトーヨーカ堂やセブンイレブンの仕事を通して、伊藤忠でもこのようなビジネスをしたい、いや是非やるべきだと考えるようになったのです。日本の流通市場というのは当時約140兆円のマーケットがありました。その中でセブンイレブンのような儲かるシステムを作り上げているところは、どれだけあるだろうかと。当時は「今ならちゃんとしたシステムを作って、ノウハウを蓄積すれば、十分に利益が見込める」と思いました。
  ただ抽象的に思い描いただけでなく、具体的に米国の企業と組んで、今のアスクルのようなリテールビジネスをやることを考えていました。運良いことに伊藤忠の経営会議でプレゼンテーションをさせてもらえることになりました。しかし、その会議ではさんざんな目に遭いました。自分なりに戦略とか予算など詳細な企画書を書いたつもりだったのですが、役員から次々と厳しい質問を浴びせられてしまい、答えに詰まって「とにかく気合いでやります」としか言えなかったように思います。
  結局、私の企画は実現しませんでした。伊藤忠でもう5年か10年頑張って、ある程度の地位についたらその事業はできていたかもしれません。しかし、私はその当時もう39歳で、そこまで待つことができなかった。それで伊藤忠に辞表を出すことにしたのです。

(3月21日更新 第3話「やりがいの創出」へつづく)  




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