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Vol.013 株式会社リヴァンプ 代表パートナー 澤田貴司第3話 やりがいの創出
コラム(3) パーソナル・データ(3)
企業文化の創造
 私がファーストリテイリングで手がけた仕事としてユニクロのフリースがよく話題になります。たしかにフリースの大ヒットで瞬く間にユニクロは売り上げで4,000億円の企業になりました。世界的なSPA(製造小売)へ脱皮したとも言われました。でも私が、柳井さんや社員の方たちと一緒にやったことでもっとも意味があったと思うのは、「良いことや悪いことを明確にする」、「情報を社員全員で共有する」というような企業文化を創ることではないかと思っています。
  商品本部長になってからカスタマー・メールボックスを作って、お客様からのクレームなど自由に書き込んでいただくようにしました。社員はそれを毎日見ますし、その日のうちにお客様に返答するということも徹底されました。そのおかげで、お客様から対応が良い会社というお褒めの言葉をいただけるようにもなりました。小売業にとって「社員のやる気」と「企業文化」を維持することはとても大切なことですが、その面での貢献は少しはできたのかなと思っています。
  入社して5年目、2001年に柳井さんから「社長をやってくれないか」という話をいただきました。しかしファーストリテイリングで5年間勤めているうちに、柳井さんのように自分で一から会社を作ってみたいという気持ちを押さえきれなくなっていたのです。そこで独立を決意したのです。

企業再生ファンド

 ファーストリテイリングを退職したのは2002年4月です。退職してすぐに起業したわけではありません。辞めた後1年ほどは何をやろうかと考えながら過ごしていました。ありがたいことに、いくつかの会社から声をかけていただきましたが、自分自身で納得できる仕事がしたかったこともあり、お誘いをお断りしていました。
  このときに米国で流通企業の再生を手がけるSBキャピタルグループのデービッド・バーンスタインさんと知り合ったのです。彼は元気がなくなった会社を買収して立て直し、ナスダックに上場させるということを仕事にしていました。それで私などに涼しい顔で「実はあの会社は、昔はこんなにひどかったのだよ」などと話してくれるのです。そんな姿が格好良く見えたのです。
  そのときです、企業再生ファンドというものを知ったのは。私自身にとっては未経験の仕事でしたが、とにかくやりたい、やってみたいと夢中になったのです。それでSBキャピタルグループと提携して資金を出資してもらい、私も出資して2003年にキアコンという会社を設立しました。キアコンの名前は、私がずっと言い続けていた「気合いと根性」からつけました。

(3月28日更新 第4話「お金と汗と喜びを」へつづく)  




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