ファーストリテイリングを退職したのは2002年4月です。退職してすぐに起業したわけではありません。辞めた後1年ほどは何をやろうかと考えながら過ごしていました。ありがたいことに、いくつかの会社から声をかけていただきましたが、自分自身で納得できる仕事がしたかったこともあり、お誘いをお断りしていました。
このときに米国で流通企業の再生を手がけるSBキャピタルグループのデービッド・バーンスタインさんと知り合ったのです。彼は元気がなくなった会社を買収して立て直し、ナスダックに上場させるということを仕事にしていました。それで私などに涼しい顔で「実はあの会社は、昔はこんなにひどかったのだよ」などと話してくれるのです。そんな姿が格好良く見えたのです。
そのときです、企業再生ファンドというものを知ったのは。私自身にとっては未経験の仕事でしたが、とにかくやりたい、やってみたいと夢中になったのです。それでSBキャピタルグループと提携して資金を出資してもらい、私も出資して2003年にキアコンという会社を設立しました。キアコンの名前は、私がずっと言い続けていた「気合いと根性」からつけました。
(3月28日更新 第4話「お金と汗と喜びを」へつづく)
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