ユニゾン・キャピタルを辞める約半年前に、元KPMGコーポレートファイナンスの代表取締役で、当時一人で仕事をしていた公認会計士の渡辺章博氏(現・GCS代表取締役パートナー)たちと話をして2004年4月1日、GCAを立ち上げました。当初はとりあえず作っただけだったのですが、独立系にビジネスチャンスがあると思ったのは、ダイエーが産業再生機構に行く前のプロセスを見たときでした。当時はダイエー再建のアドバイザーは大和証券SMBC、みずほ証券、UFJつばさ証券(現三菱UFJ証券)の3社でした。しかし3社ともダイエーのメインバンクの系列証券会社でした。しかし、債務者としてのダイエーのアドバイザーとしてメイン銀行に対して債権放棄の要請はできないでしょう。メインバンクの第1優先は債務者の救済よりも債権回収です。完全な利益相反です。こうした構図は絶対におかしい、将来必ず独立系のM&Aアドバイザリー会社が必要になるはずだと確信しました。
M&Aのアドバイザリーという仕事の良いところは自分の仕事が形として残るところです。我々が関与した阪急ホールディングスと阪神電気鉄道の経営統合、ワールドのMBOなどは実際に形として残っています。M&Aは成功するかしないかで、その結果の社会へ与える影響はまるで違ってきます。大変ですが、とてもやりがいのある仕事だと思います。
M&Aはまず最終的な形をイメージするところから始めます。M&Aが成功する確率は最初は数パーセントもありません。阪急阪神の経営統合やワールドのMBOも、最初は可能性1%未満だと考えていました。M&Aは勝負です。交渉には流れというものがあり、その流れを掴むかどうか、流れをコントロールできるかが成否を決します。野球などのスポーツの世界にも似ていて、一瞬一瞬が勝負の世界で、形勢が突然ひっくり返ることもあります。最後の最後まで、契約書を調印するまでわかりません。 |