アルジェリアに来て4〜5年経ち、ようやくプロジェクトも軌道に乗りだした頃のことです。仕事は長期にわたるものでしたから、日本側の体制も次々に変わっていきました。アルジェにあった本部も人がどんどん変わっていきます。しかし私はプロジェクトに張り付いたままでした。このまま一生このプロジェクトと付き合っていくことになるのではないか、と思ったのです。
そして、さらに、本当の自分は「表現者」になりたかったはずだ。今やっている事は本来自分がやるべきことではないとさえ思えはじめてきたのです。自分の人生を軌道修正したい。なんとかしなければという気が日々強くなっていきました。冷静な目で私が抜けてもプロジェクトが滞る事はないと判断できたとき、丸紅を退職する決心をしました。丸紅に勤務していた期間は10年と10カ月でした。
しかし、丸紅で、会社の再生に携わったり、多くの修羅場を経験したことは得難い経験でした。とくに、アルジェリアでの経験は今の仕事にも生きています。じつは、ブランド構築の仕事の流れは、プラントエンジニアリングと同じ手法で進めているのです。 |