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Front Interview
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Vol.018 グラムコ株式会社 代表取締役社長 山田敦郎第4話 生生流転
コラム(4) パーソナル・データ(4)
海外へ目を向ける
 2000年、グラムコは米国に進出しました。サンフランシスコに現地法人を設立して活動を始めました。しかし成果は芳しくありませんでした。我々がいくら努力しても楔を打ち込めないのです。日系企業も現地の会社に依頼してしまう。現地でITバブルが弾けたのを機に、米国現地法人は4年で解散しました。
  しかし、この海外進出が無駄だったとは思っていません。R&Dもできましたしマーケットリサーチもできました。グラムコのラボ的な役割を果たしてくれたのです。この進出と撤退から実感できたことは、欧米でアジアの企業が単独でやっていくのは大変難しいということでした。私の業界でいえば現在世界一の米国・ランドー社は60年の歴史があり、すでに世界十数カ国に拠点を持って活動しています。第2位のイギリス・インターブランド社はフランチャイジー方式で世界にネットワークを広げています。
  こうした企業が強力な基盤を築いている中に、後発であるグラムコが分け入っていくのはとても難しいことです。ヨーロッパでは米国以上に難しく、おそらく進出しても拠点づくりすら満足にできないでしょう。そこで、グラムコはフランスのドラゴンルージュ社と提携し、彼らと一緒になって仕事を進めていく道を選びました。

新天地、中国へ
 このようにお話ししてくると、日本企業が海外に事業を展開していくことは難しいことであると思われますが、決してそうではありません。目を転ずると、アジアはまだまだこれから発展する地域であり、特に中国に軸足を据えればそれが可能だと私は考えています。まず、中国には同じアジア人として理解できる文化や風土があります。そこに根ざした提案はかならずや中国のクライアントに届くことでしょう。このように先行して実績を積んでいけば、中国に進出しようとする欧米の企業も、まずは私たちに声をかけてくるようになるでしょう。
  中国における我々のビジネスは、日本と同じく、企業名や商品名の提案があります。中国の法律で、欧文の会社名や商品名はそのままでは登記ができないのです。中国の市場や生活習慣に合わせて、適切な中国語の名前に翻案する必要があります。また、当たり前のことではありますが、中国と日本ではマーケットそのものがまったく違っています。中国市場に合わせたマーケティングやコンセプトを一から作り直さなければなりません。グラムコが中国に現地法人を設立したのは2004年。当時は「まだ早すぎるのではないか」と言われました。しかし、いまでは先に述べたように中国に進出してくる企業のお手伝いを依頼される事も増えています。
  また、最近では中国の企業も重要なお客様になっています。コンピュータのレノボ(連想集団)さんも私たちのクライアントになっています。レノボはグローバルにビジネスを展開するために、商品やデザイン、コンセプトなどを世界標準にしなければなりません。そのためのお手伝いをグラムコの北京事務所が中心になってやっています。


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