ベンチャーとの関わりは、VEC(Venture Enterprise Center)を所管する担当補佐をしたのがきっかけです。VECの創立は1975年ですが、1971年に清成忠男先生と中村秀一郎先生、平尾光司先生の3名が『ベンチャービジネス〜頭脳を売る小さな大企業』という本を書いて初めて「ベンチャービジネス」という言葉を使いました。
その方々と、経済産業省の次官にまでなられた故熊野英昭さん(後に東京中小企業投資育成株式会社代表取締役社長)が一緒に作ったのがVECです。ベンチャービジネスというコンセプト自体、ここVECを作った人たちが考えたものですが、もともとは、米国でボストン周辺のルート128沿いで急成長したハイテク企業群を支える会社のことをベンチャーキャピタルと呼ばれていたのですが、当時通産省の佃さんという方が、そのベンチャーキャピタルの支援を受ける企業の方々をベンチャービジネスと言ってしまったのですね。
清成先生たちはそのちょっとした誤解は知っていたのですが、「ベンチャービジネス」という和製英語が面白いから、これに中身をつけようということで本を書かれたわけです。それがベンチャービジネス論の始まりになりました。私が担当になったのは1980年から1983年までで、VECができてちょうど5年くらい経った頃です。まだ清成先生たちも理事をされていましたから、一緒に勉強会などをしました。
(12月12日更新 第2話「門戸を開く」へつづく)
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