この手法は、たとえば1億円貸し付けて金利10%に設定すると、何年後かに転換する取り決めにします。期末には年利10%相当の金利がのって元利合計が1億1,000円になりますが、それは債権が増えただけの状態です。2年目には1億2千万円になりますが、かりにもしその段階で会社がある程度成長し、ベンチャーキャピタルの投資資金が入ってくれば、そこからその債権分を転換するという仕組みになっているのです。ただし、元々の1億円はそのまま残っているので、ベンチャーキャピタルが入ってきてもエンジェルは出ていかずに、最後のイグジットまでついていきます。
企業側とすれば貸し付けてもらっているだけですから、資本金による支配ということはないし、心理的な抵抗感も少ない。最初、この話を聞いた時は絶句しました。こういう手法があるということを、日本のベンチャーキャピタル業界の人は誰一人として知らなかったのです。
あとでわかったことですが、MBAコースでは、「コンパーティブル・ノート・ストラクチャー」のことはみんな勉強するのだそうです。日本でもMBAを取得している人は数多くいるわけで、でも知っていても使わなくちゃしょうがないですよ。とにかく米国人というのは、金融のメカニズムを作るのが上手い、そう思います。
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