職業としてのベンチャーキャピタリストは、ファイナンス面しか見ていないので、企業の成長性を診断する力が弱くなってきていると米国でも言われていました。しかし、エンジェルは、優れた技術やアイデアなどのシーズを所有しているアーリーステージ(成長の初期段階)にあるベンチャー企業の発掘について、相当な眼力を持っていました。
米国はSECのルールが厳しくて、金融資産100万ドル以上を保有し、年収20万ドル以上の認められた投資家しか、エンジェルになれません。ベンチャー企業は、そのサークルに入っていれば、レギュレーションD(SECルール)というIPOに求められる開示義務が軽減され、簡便なデータだけで資金が調達できます。
基本的な仕組みは私的自治に任されていて、政府に届け出ることもなく、適格投資家だけがエンジェルとして直接投資を行う仕組みになっています。本来、企業がエクイティファイナンスを受けるというのは公的な行為で、SECのルールが適用されているのです。こうしたエクイティファイナンスに対する意識、情報開示の面では、日本は発展途上だと思います。
(12月26日更新 第4話「逆風に向かう」へつづく)
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