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Vol.022 財団法人ベンチャーエンタープライズセンター理事長 濱田隆道第3話 礎と俯瞰
コラム(3) パーソナル・データ(3)
投資はパブリックな行い
 グローバルな視点から見ると、ベンチャー投資の面で日本はほとんどパッシングされている感じです。ヨーロッパも米国のベンチャーキャピタルも、どんどん国際的な展開をしていますが、そのターゲットは日本ではありません。これまでの投資経験から、日本はオープンじゃないし、伸びないと判断されています。
 日本のベンチャーキャピタルのデータがオープンになって、詳細なデータを開示するようになれば、米国のベンチャーキャピタルにも日本のベンチャー事情がわかって、投資してもいいという気持ちになるはずです。
 米国のベンチャーキャピタルのデータを扱っている「ベンチャーワン」などは、すべての投資先と投資実績が見られるようになっています。デイリーにアナウンスされるデータをアップデートして蓄積しているのです。日本にはそれがない。投資したらオープンにすることが必要です。投資というのは、パブリックな行いですからね。そういうデータがすべての基礎になっていくのです。

ビジネスエンジェル
 先日、米国のビジネスエンジェルの実態を調査する旅から戻ってきたばかりなのですが、エンジェルという存在に新しい可能性を感じました。日本では 「エンジェル投資」というと、個人投資家がベンチャー企業に慈善事業で資金提供しているように捉えられていますが、エンジェル(=天使)という言葉に惑わされている場合が多い。どの文献を読んでも、収益を取りにいく構造というものが探求されていないのですね。
 でも、実際に調べてみると、投資スタイルはかつてのクラシックベンチャーキャピタリストと呼ばれているシリコンバレーモデルそのままで、果たしている機能も同じなのです。ただ、それが会社単位ではなく、個人がそれぞれのパーソナルマネーでファイナンスをしているということです。
 もともと米国にはビジネスエンジェルは多数存在していたのですが、ここ10年くらいの最大の変化は、個々のビジネスエンジェルが集まってネットワークを形成していることです。30名から500名までさまざまなエンジェルのコミュニティがありました。

開示という責任
 職業としてのベンチャーキャピタリストは、ファイナンス面しか見ていないので、企業の成長性を診断する力が弱くなってきていると米国でも言われていました。しかし、エンジェルは、優れた技術やアイデアなどのシーズを所有しているアーリーステージ(成長の初期段階)にあるベンチャー企業の発掘について、相当な眼力を持っていました。
 米国はSECのルールが厳しくて、金融資産100万ドル以上を保有し、年収20万ドル以上の認められた投資家しか、エンジェルになれません。ベンチャー企業は、そのサークルに入っていれば、レギュレーションD(SECルール)というIPOに求められる開示義務が軽減され、簡便なデータだけで資金が調達できます。
 基本的な仕組みは私的自治に任されていて、政府に届け出ることもなく、適格投資家だけがエンジェルとして直接投資を行う仕組みになっています。本来、企業がエクイティファイナンスを受けるというのは公的な行為で、SECのルールが適用されているのです。こうしたエクイティファイナンスに対する意識、情報開示の面では、日本は発展途上だと思います。

(12月26日更新 第4話「逆風に向かう」へつづく) 




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