大学院を修了して1年後には、「ハイエック・エンジニアリング(Hayek Engineering)」という鉄鋼圧延工場および関連インフラストラクチャー(発電機、給水、道路、住宅)を持つ産業プラントで、ナイジェリアで10億ドル規模の建設に携わりました。プロジェクト全体の責任者として採用されました。
その後、不動産開発事業を手がける「モーター・コロンバス・グループ(Motor Columbus Group)」という不動産インフラストラクチャー会社の役員として、同社の大掛かりな再建に携わることになりました。同社は、100年以上の歴史を持つ上場企業の持ち株会社で、スタンフォード大学時代の恩師から紹介されました。当時、この会社は、不動産計画の実現、資金調達、テナントに関して大きな問題を抱えており、私は再建の主導権を握るゼネラルマネジャーとして、投資の計画・承認・実施の各プロセスの再設計を行いました。この再建に関わったことで、常に計画を立てること、そして体系的・実際的なやり方で物事を進めることについて多くを学んだと思います。
1980年代半ばには、米国での投資を行うため、欧州でベンチャーキャピタルのファンド・オブ・ファンズの投資活動を行うモーター・コロンバス・プライベートエクイティ(Motor-Columbus Private Equity)事業を立ち上げました。当時、まだ革新的だったファンド・オブ・ファンズを設立するというアイデアを考えつき、この投資活動によって再建が成功したため、経営陣からの信頼を得、事業を推進することができたのです。最初に立ち上げたファンド・オブ・ファンズのパフォーマンスは、世界でも上位に入るもので、その時点では最高のパフォーマンスのファンドだったと思います。モーター・コロンバス・グループのためにファンド・オブ・ファンズを設立し、運用に成功した経験がきっかけとなり、自分自身のファンド・オブ・ファンズを設立することを考え始めました。自分の力で未来を形づくってみたくなったのです。
(12月10日更新 第2話「未来をつくる」へつづく)
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