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Front Interview
第1話 第2話
第3話 第4話
Vol.034 アドベック CEO ブルーノ・ラシュレ第3話 バランス
パーソナル・データ(3)
価値創造のダイナミズム
 アドベックには投資の専門家が集まっていますが、新たな人材を迎える時はいつも、価値創造全体のダイナミズムにどのような変化をもたらす可能性があるかを念頭に置いています。人材育成に関しては、大きく二つのパートにわかれています。一つは、ツールおよびプロセスの学習です。二つ目は、実践・実地学習において、そのプロセスを何度も繰り返し適用していくことです。さまざまなプロジェクトや現場から多くのことを学んでいくのです。ビジネスマンとして成長するためには、意思決定というものが、往々にして不完全で不確実な情報に基づいて行われるものだという現実に直面することが必要です。そして、そこから多くを学なんでいくものなのです。
 すべての会社には、その会社特有のDNAというものがあり、それは私たちについても同様です。人材を採用する場合、それぞれの候補者について、仕事関連の能力、業界関連の能力、そして社会的な能力といった面から評価をするため、体系的なプロセスを構築しています。
 これまで創業から一貫して成長し続けてきましたが、それで満足することはありません。なぜなら、私たちが利益を上げ、健全なバランス・シートを保つことが、私たちの顧客の利益に適うことだからです。私たちは、そうした顧客のニーズに応えることによって、当初の計画を上回る成長を手にすることができたのです。

顧客からのロイヤリティ
 私たちは顧客の満足度を高めることが、よきパートナーとして迎えられることにつながっていくものだと考えています。そして、それは日々の優れたパフォーマンスを得ることによってのみ可能となります。それゆえ、現状に満足するということは決してできないのです。世界は常に変動し、急激に変化しています。そうした状況の中で困難な課題に直面し、そこを乗り越えていく努力が、私たちと顧客を新しい明日へと導くことにつながっているのです。
 ビジネスの規模が大きくなるにつれて、金銭的な目標というものは次第に重要性が薄れてくるものだとよくいわれます。もちろん成功それ自体が病みつきになることは確かにあります。私たちの業界では、個人的に巨大な富を蓄積している人が数多くいますが、それでも、そうした人々の多くは、以前にも増して懸命に、また熱心に働き続けています。富というものは成功に伴って得られるものであり、富の創出は重要な目的の一つになりますが、個人のバリューチェーンにおいて最も重要な要素というわけではないのです。私自身は、自分の生い立ちによるところが大きいのかもしれませんが、これまで行ってきたすべてのビジネスにおいて、個人的な富を最大化するという短期志向を主要な目的としたことは一度もありません。
 私にとってビジネスの成功は、個人的なレベルでの成功とはまったく異なるものなのです。これまで成功とそこで得た富により、個人的な生活が大きく損なわれるような状況に陥った人々を数多く見てきました。仕事での成功、あるいは他を凌ぐような業績を収めるためには、自らの生活に対する影響・犠牲なくしては得られないものなのです。ビジネスマンにとっての成功とは、顧客が支払ったものに応じた便益を得ることであり、リピーター顧客からのロイヤリティ(忠誠度)こそが、その成功を達成したことに対する私自身への報酬となるのです。


(12月24日更新 第4話「心をひらく」へつづく)



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