【森本】 事業開発部によるハンズオンの特徴は何ですか。
【横山】 基本的に大和証券グループのネットワークを使えることですね。大和証券が主幹事の上場会社もたくさんありますし、また、三井住友銀行の取引先も数多くありますから、このルートを使った我々の投資で株式公開するまで成長した企業は800社近くになります。この親会社のネットワークを使った企業の成長支援は、きわめて有効に働いてきたと思います。それに、現在の投資先も1,000社以上ありますが、これらの企業のニーズにあったマッチングをしていく機能も強力だと思います。多様な業種に対応できますからね。
【森本】 とくにどの分野が強いということではなく、すべての分野に対応できるということですか。
【横山】 基本的に、何かに偏っているということはないですね。
【森本】 ファンドの性格も、バランス型になるのですね。
【横山】 そうです。現在、投資を行っているファンドは国内だけでなく、海外への投資も行っています。海外投資の比率は、全体の10%になります。
【森本】 逆に、そういうバランス型の投資スタイルであるための悩みはありますか。
【横山】 そうですね。何かに特化しているわけではないということは、そこには情報が集中して集まることがないということですから、そういう意味では、知識、ノウハウ、密度の高い情報が集約されていく機能は、弱いといえるかもしれません。いろいろな分野に投資していますから、その部署にいけば、その分野の情報が必ずあるという形はできづらいですね。特化型のベンチャーキャピタルに比べれば、その能力は弱いかもしれません。しかし、日本のように、ベンチャーキャピタルが上場していると、間口を広くしたやり方になるのは必然だと思います。
【森本】 一つ一つ改善しながら、大きな組織体制を構築していくというあり方ですね。
【横山】 そうですね。おっしゃるとおりだと思います。
【森本】 海外投資では、どの地域が主になっていますか。
【横山】 アジアです。中国が中心ですね。いま香港に現地法人があって、上海にも駐在員事務所があります。10月には北京とホーチミンにも、拠点をつくる予定です。もともとは、台湾に現地銀行との合弁会社のベンチャーキャピタルがあって、台湾経由で大陸への投資をしていましたが、現在は直接投資する体制に移行しています。
後編 「日本型ベンチャーキャピタルを目指して」(10月15日発行)へ続く。 |