1933年、東京に生まれ、戦中・戦後の混沌とした時代状況の中で、 価値観の大きな転換を目の当たりにした少年期—。 その時の経験が、やがて既存の権威や通念に対する疑念となって、 学究の徒として進むべき道の礎を築いていく。 1956年、東京大学経済学部を卒業後、国民金融公庫に職を得る。 そこで高度成長期に起こりつつある新たな起業の動きと遭遇、 大がかりな調査の末、そこに日本の新しい企業活動の勃興を見い出し、 “ベンチャービジネス”という言葉として定義し、その存在を世に問うた。 “ベンチャー”という言葉の生みの親として、 企業研究の先端で日本の“今”と向き合ってきた半生。 それは、自身がまさにベンチャー精神に富んだ研究者として、 現場主義を貫き、常に現実世界に目を向けながら歩き続けてきた証でもある。