1972年から1973年にかけて第1次ベンチャーブームが、1982年から1983年頃ごろに第2次ベンチャーブームが起こります。第1次は、ニクソンショックの後の過剰流動性による金余りで、新産業に投資が集まったからで、ベンチャー側からの自然発生的な動きではありませんでした。第2次ブームは、株式の店頭公開基準の緩和によってベンチャーキャピタルが増えただけで、第1次同様、資金供給側からの動きに過ぎません。
ところが1990年代のバブル期に始まる第3次ブームでは、1次、2次のような資金供給サイドの都合によって生じたブームではなく、そのまま現在まで続く大きな動きとなっています。ブームというのは終わりが来るからブームですが、続いているとなると、もうブームではありません。その後、1997年に、長期信用銀行、山一證券が破綻しますが、それが成長しつつあるベンチャーに影響してはいけないということで、敢えてこの年にベンチャー学会を作りました。
アカデミックにものを考え、政策提言をする学会として、国立大のエスタブリッシュメントではなく、私学主体の学会にしようと、慶應義塾大学の鳥居泰彦塾長、早稲田大学の奥島孝康総長に声をかけて賛成を得、立命館大学の大南正瑛総長、青山学院大学の國岡昭夫学長にも声をかけました。それと識者の方々にも加わっていただくために、発起人として野田一夫さん、江崎玲於奈さん、理化学研究所所長だった有馬朗人さん、広中平助さんにも声をかけ、ご賛同いただきました。厳しい時代状況でしたが、やはり世の中を変えていく施策の提案をするのは学会という場であるべきで、ただし、それは閉鎖的なものではなく、ベンチャーの経営者も通産省もベンチャーキャピタルも大いに歓迎という、オープンな形の学会としました。
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