成熟経済になれば、間接金融から直接金融へという流れが出てくるだろうなという予測は、ずっと以前から持っていました。米国でも9割、英国でも7割が直接金融です。つまりファンドの方が多いのです。日本のように、株への投資が1割にも満たなくて、残りの9割が銀行に預金している状況というのは、少なくとも成熟経済とは呼べません。
銀行にお金を置いているというのは、預金者が何もしないと言うことですから。成長期でしたら、それでも日本経済全体に資金が不足していましたから、そこそこの金利が付きました。もう、金が日本では余っています。その金が大企業の株にも流れるでしょうが、それだけではない、地域で必要としている社会起業に流れ出します。だから緩やかにではあっても、いずれは直接金融という方向にシフトしていくなかで、これからの投資というものは、単に証券会社を通して市場から株を買うというものではなくなります。
少し説明しますと、それぞれが暮らす地域に必要なこと、自分の生活に密着した、自分自身が必要だと思う事業に投資するのが、本来的なファンドのありようだと思うのです。たとえば、自分はこのグループに介護してほしいというところがあれば、そこに必要なお金を出しておくことで、後々、面倒を見てもらえるわけです。そういうファンドがあれば、双方にとって有益で意味あることだろうという発想で7つの地域ファンドを数年前に始めたわけです。最近、ご当地ファンドというのが流行り始めましたが、発想としては同じです。
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