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Front Interview
第1話 第2話
第3話 第4話
Vol.023 市民バンク代表 片岡勝第4話 知恵の力
コラム(4) パーソナル・データ(4)
ソーシャルキャピタルとは
 与えられたミッションに対して忠実であれば、自ずと解決策は生まれてくると僕は思います。人が抱えている問題を解決するために使うのが知恵です。だから、可能性は無限大ですし、みんな知恵を出す人、コミットして責任を持ってくれる人を待っているのです。
 一方、キャピタルの世界というものは取り合いであって、相手が損をすると、自分が得するという世界。株は、儲けた人間と損した人間がいるから市場が成り立っているわけで、そこにみんなのハッピーはありません。でも、ソーシャルキャピタルというものは、取り合いの世界ではなくて、やればやるほどハッピーが無限に広がっていきます。そこが違うところですね。金融仲間にはよく言われますよ。「こんなリスキーなことをしていて、よくケガしないな」と。でも僕は、誰でも儲かりそうなことを、小声でささやくみたいな話には興味がありません。エネルギーがなくなるから、そういう人たちとは付き合わないようにしています。


国を跨いだソーシャルシステム
 たとえば、1,000万円である会社を作るとします。会社を作るのは若い人で、出資するのは僕。簡単にいうと、この会社が10万円ずつ、100個のプロジェクトを作るとすると、もとの1,000万円がなくなります。そのプロジェクトで、地域ごとの小さな生産者にいろいろなものを作ってもらうようにします。つまり事業が立ち上がるわけです。そして、10万円の利益が出たら、1,000万円で作った会社の株を、その10万円で買い戻してもらうのです。そうすると、100の事業が成功すれば、1,000万円の会社すべてが地域の人のものになる。それで、僕の手元には1,000万円が戻るだけです。この仕組みを、豊かな日本のお金が余っている人たちがやればいいのです。
 ファンドの次に取り組んでいる、国を跨いだソーシャルトラストとでもいうシステムです。100の事業がすべてうまくいくとは限りませんが、それを実験してみて、もしうまくいけば、彼らによる、彼らのための、彼らの会社が生まれます。そういうものの成長を将来の夢にして、みんながお金を投資するようなソーシャルな仕組みが根づいていくというのが、僕自身の次の夢であり、金持ち国・日本の課題だと思います。



次号(2008年2月6日発行)は、スパイクソース株式会社 CEOのキム・ポレーゼさんが登場します。




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