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Front Interview
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第3話 第4話
Vol.024 スパイクソース株式会社 CEO キム・ポレーゼ第2話 JAVA
コラム(2) パーソナル・データ(2)
マリンバ、誕生
 JAVAの開発に関わっていた1995年。私とチームのトップエンジニア3名で、JAVAが立ち上がった時には、JAVAがより多くの企業に使えってもらえるようにするために会社を設立しようという話になりました。開発に携わっていたわけですから、JAVAが優れたプラットフォームであることは十分承知していましたが、開発はその段階までであって、それを多くの企業の人たちに使ってもらうための有効なツールというものがありませんでした。つまり、JAVAの上に搭載するエンタープライズ向けのアプリケーションを作るためのツールがなかったのです。
 あの当時は独特の時代で、ちょうどネットスケープ社が設立された直後で、初期のインターネット関連の企業が次々に誕生していた、いわばインターネットの黎明期でした。世間の関心も高く、JAVAを世界中のビジネスで使えるようにしていきたいという要望も強くありました。企業がインターネットを活用するためのプロダクトが求められていても、それに対応できる製品がなかったのです。
 チャンスはあるのに、答えを出してくれるソリューションがまだ生まれていない、そういう状況でした。そうした時期に、有能なエンジニア3名とJAVAを意義ある形で世界に提供していくために、「マリンバ(Marimba)」を設立したのです。  

ウエブを覚醒させる
 JAVAはC言語に似たプログラミング言語ですが、完全なオブジェクト指向性を備えており、セキュリティやネットワークに関連した豊富な機能を搭載しています。ネットワーク環境での利用を前提にした仕様となっており、JAVAを市場に出していく際に、最初はPDA(Personal Digital Assistant)、ハンドヘルドと呼ばれた小型情報端末などのデバイスで利用することを考えていました。しかし市場が未成熟であったことから諦め、次にケーブルTVのセットトップボックスに組み込むことを考えました。しかし、これもまた時期尚早で、JAVAを受け入れる素地というものが市場にまだありませんでした。
 このように最初の2回の試みは失敗に終わったことから、その経験をもとに、JAVAを市場に出していく最善の形は何かということをふたたび検討しました。そして思いついたのが、JAVAを使ったブラウザで、Webにインタラクティブ(双方向)性を持たせるということでした。3度目の正直で成功することができたわけです。もともとJAVA自体は、コンシューマ用ではあっても、ITを目的に開発されたものではなく、テレコムなどの電気通信関係でも、ITでも使えるテクノロジーとして開発されたものでした。基礎技術として生まれたものだったので、それを市場にどう出していくかということを考えなければならなかったのです。
 JAVAという名前は、ジャワ産のコーヒーが由来となっています。JAVAのテクノロジーを体現するような言葉を名前としてつけたいと思い、開発チームでブレーンストーミングを行いました。その時に、「Webを生きたものにする」「インタラクティブ(双方向)性が取れるようにする」「Webページが活き活きする」といったようなことを含めた意味を持つ言葉として、「目を覚ます」 「起こす」 「覚醒する」というカフェインの効用から連想してコーヒーの“JAVA”という言葉を使うことにしたのです。


(2月20日更新 第3話「コミュニティ」へつづく)  




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