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Front Interview
第1話 第2話
第3話 第4話
Vol.024 スパイクソース株式会社 CEO キム・ポレーゼ第4話 変革
コラム(4) パーソナル・データ(4)
アパッチ・フレンズ
 オープンソースソフトウェアの開発者というのは、問題を解決したいという強い意志を持っている人たちの集まりですが、自分自身が手がけたことで問題や課題が解決し、他の多くの人がそれによって恩恵を受けるところに大きな喜びを見出しています。
 たとえば、「アパッチ(Apache)」というWebサーバソフトウェアの場合、高い安定性と軽快な動作、豊富な機能を備えており、LinuxやUNIXプラットフォームは、MacやWindowsでも動くという動作環境を選ばない特徴を持っていることから、高い人気を誇るソフトウェアになっています。1995年にこのソフトウェアの開発が始まるまでの1990年代前半においては、バックエンドでWebページをしっかり落とし込むものがありませんでした。新しいWebサーバソフトウェアというものの必要性はあったものの、大きな会社がなかなか開発に着手しなかったことから、ブライアン・ベレンドルフ(Brian Behlendorf)氏とクリフ・スコリニック(Cliff Skolnick)氏を中心に組織されたアパッチ・グループが自分たちの手で開発し、それを広く公開したのが始まりとなっていたのです。
 その後、世界中で人気が高まり、アパッチの普及促進を目的として結成された非営利組織アパッチ・フレンズによって、世界中のボランティアのプログラマたちが開発を続けています。今や世界で最も普及しているWeb サーバソフトウェアにまで成長しています。

スパイクソース、日本へ
 現在、スパイクソース社のアメリカにおける業績は着実に伸びており、売上規模が5億ドルから10億ドルくらいの中小規模の企業を中心に市場が拡大しています。情報システムの導入に際して、システムインテグレーションを一括して請け負う事業者がオープンソースソフトウェアに注目しているのが、その大きな理由です。サポートやメンテナンスにかかる費用が次第に高くなっているため、オープンソースソフトウェアを利用することでコスト削減を図り、さらに独自にカスタマイズすることによって付加価値を加えながら、他社との差別化を図り、競争力を高めているのです。
 日本においても、オープンソースの市場は拡大してきており、ビジネスは今後さらに広がっていくものと考えています。スパイクソース社は、設立当初から日本を重要なマーケットと捉えており、非常に高いプライオリティで考えてきました。私たちがビジネスを展開し、存在感を示していくためには、欠くことのできない市場であり、さらにアジアにおいてビジネスを広げていく場合にも、日本はそのためのハブとなるベース基地として大きな役割を果たすと考えています。
 日本とのおつきあいは、マリンバ創立時に伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)との提携を実現し、当時、ご担当であった安達俊久氏(現伊藤忠テクノロジーベンチャーズ社長)には、創立記念セレモニーの折りに本場のマリンバの楽団をセッティングしていただくなど大変お世話になっています。また安達社長はレイ・レーン氏とも深い交流があり、オープンソースソフトウェアによるシステム構築から運用・保守サポートまで一貫したサービスを提供する「SpikeTM Net」を展開するなど深い関係性が生まれてきました。また、NEC、インテル、デル各社との提携を通じて、オープンソースソフトウェア事業の拡大を図っています。さらに、2008年中には、日本法人を設立し、北島弘氏を代表に迎えることで、さらなる市場開拓と可能性の拡大をめざしていきたいと考えています。



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