自分の中でベンチャーに対する意識が芽生えたのは、やはり自分の会社を立ち上げた2001年頃だと思います。それまでは大手の外資系金融機関に勤めていて、特にベンチャーに対する意識はありませんでした。そういう意味で考えると、1996年にムーア・キャピタル・マネジメントに転職したのは、一つのターニングポイントだったかもしれません。市場では巨大な金額を取引しているヘッジファンドでしたが、組織の形態としては中小企業でした。
創業者のファンドマネジャーをトップに、彼をサポートする極めてフラットな組織で、ヘッジファンドの中でも最大手クラスでしたが、それでも当時は100名程度で、今でも200名規模だと思います。それくらいの組織ですから、意志決定が非常にシンプルで、トップとその周辺でものごとが決まっていきます。意思決定や情報収集のためのミーティングというのは数え切れないほどありましたが、組織にありがちな会議のための会議、というようなものは一切ありませんでした。そういうところでの経験があったので、できれば大きな組織には戻りたくないという気持ちがありました。
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