今までを振り返ると、その時々の時代の流れの中で、自分が置かれている立場とマッチングする方向に進む形で人生を歩んできたように思います。1980年代の頃は、日本人でMBAを持っていることがアドバンテージになった時代だったので金融の世界に足を踏み入れたわけですが、それが今の時代になると、MBAを持っていること自体が突出した価値ではなくなっています。ならば今はどういう時代かというと、一つには新しいことを始めようとする人たちを求めている時代ではないかと思っています。
1980年代は、私のような異分子に対して、その存在は認めたとしても、ある意味、お客さん扱いでした。しかし最近は、昔と比べて異分子に対する許容度が高まってきたような気がします。2002年に経済同友会に誘われた時も、正直、私のようなものが参加するところではないような気がしましたが、若手の意見が必要だということで声がかかりました。最初の会合に出席した時はやはり、年齢も経歴もすごい人たちばかりでしたから、“ここは自分のいる場所ではないな”と感じたものです。しかし慣れというのは恐ろしいもので、その場に馴染んでくると平気になります。
なぜ私が経済同友会のような集まりに呼ばれたかというと、たぶん時代感覚というか、世代感覚の違いがあったからかもしれません。70代の人たちというのは、子供の頃に戦争を体験していて、世の中ががらりと変わるという原体験を持っています。その次の団塊の世代の人たちというのは数も多く、高度成長期を迎えて、その波の勢いに乗って逃げ切ればいい、そういう感覚があると思うのです。
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