極端にいえば、金融界に関わらず、日本の企業には「女性はコピー取りとお茶汲み。あとはいわれたことをやればいい」という風潮がまだ残っているような気がします。男女雇用機会均等法の施行によって、男女格差がなくなったとはいえ、その実情にはいささか疑問があります。よく一般企業に勤めていた女性社員が結婚して子どもを出産すると、それを境にして退職する人がけっこういます。もちろん、子育てに専念するからという理由でやめる人もいると思いますが、そうではないケースもけっこうあるのです。
たとえば、ある会社に20人くらいのチームがあって、そこで既婚の女性が働いていたとします。産休を取って子どもを出産し、その後も仕事を続けていたところ、子どもがたびたび熱を出して早退するとか、保育園に迎えに行くから残業はできないとか、子どもを抱えていると、その人の仕事のウエイトが減ってくるわけです。そうなると残りの人たちが男女を問わずに「だれだれさんが子どもの都合で先に帰るから、私たちの負担が大きくなる」となるのです。
職場の人間が「また、あの人のせいで私たちは損をする」のように、自分のことしか考えないような態度では困るのです。だれの子どもであっても、チーム20人の子どもだと思えば腹も立たないわけです。職場の仲間がサポートしていけば、実際に子育てをしている社員の方も気分的にずいぶんと楽になると思います。子どもを産んだら退職せざるをえないような会社ばかりでは、子どもは増えません。自分の子ども、他人の子どもというより、次世代の子どもを社会が育てるという考え方を持っていかないと、日本の少子化は解消できないと思います。
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