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Front Interview
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Vol.031 株式会社ガバナンスビジョンズ代表取締役社長 小林久仁子第4話 金融
コラム(4) パーソナル・データ(4)
議決権行使のデータ化
 弊社が目指す、日本におけるコーポレート・ガバナンスの実現という大きなミッションは、一朝にして実現できるものではありません。ベンチャービジネスの場合、財政的、組織的な限界がありますから、まずは足元をしっかり固めようと思いました。そこで、最初に投資家の議決権行使のサポート業務から始めました。株券が電子化される時代に、議決権行使は相変わらず紙の文書で行っています。日本人のほかに外国人投資家もいるというグローバル化の中で、この形態ではやはり不自由を感じることが多く、まずはその是正に取り組みました。
 議決権行使をするために招集通知という書類が株主へ送付されるわけですが、それを電子化、データ化しようと思いました。招集通知には会社の総会の日時、議案、会社の業績、財務諸表など、会社の情報が細かく記載されているのですが、議案を検討するときの情報が煩雑に掲載されているからとても見にくいのです。それをきちんとデータ化することによって、わかりやすいものに改善することができます。一例ですが、役員を選任するときに前期の役員が後期は何人になったかは、データベースになっていれば瞬時に計算できます。こうした議決権行使に関するデータベースは、お客様への情報サービスの提供になります。
 データを構築した後は、日本信託銀行、みずほ、りそな、三井住友などの各信託銀行別に各企業の判定基準をカスタマイズするサービスも行っています。業績が悪いから議案に反対するというアバウトな判断ではなく、各銀行によって業績不振を二期連続にするか、三期連続にするか、あるいは経常利益という観点から検討するか、業績不振の定義づけも各銀行によって異なってくるわけです。会社経営に関するどの項目をデータ化しているかは企業秘密ですが、大手証券会社とは違う情報サービスの提供には自信を持っています。

最後の1%まで完璧に
 金融界で働くビジネスマンの多くはエリート集団ですから、適当な情報では満足しません。仕事も最後の1%まで完璧にこなさないと、仕事ができたとは認めてもらえません。当社の取引先は信託銀行や投資顧問会社など、世間ではあまり知られた存在ではありません。しかし、そうした一流企業に対して満足する情報データを提供して、その対価を得ているわけですから、実際に構築したデータが正確であり、その会社にとってタイムリーな情報であり、しかも、それを顧客が本当に利用できたときに初めて仕事ができたという評価をいただけることになります。
 他社ではやっていない金融のデータベース提供という点でも、結果がすべてになります。仕事の過程がいくらよくても、やはり答えが正しくないとだめなわけです。また、サービス提供といっても証券の株式情報を出しているのではありませんから、常に新しい情報を組み込んでデータをアップデートしなければならないので、心身ともに休まる暇がありません。
 議決権行使で構築したデータを別の商品に作り変えることも始めました。それがコーポレート・ガバナンス・インデックスやコーポレート・ガバナンス・レーティングです。インデックスはガバナンスに関わる項目をリサーチして重要度に応じて指数化したもので、それを指標として投資家が長期間チェックできるサービス。レーティングは株式発行会社におけるガバナンスの格付けサービスです。こうしたデータベースを応用して、5年後くらいまでにはアジアの議決権行使も電子化したいと考えています。



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