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Vol.031 株式会社ガバナンスビジョンズ代表取締役社長 小林久仁子第4話 金融
コラム(4) パーソナル・データ(4)
金融サービスの自由化
 ここ数年で議決権行使はかなり活発化していますし、新聞の記事になることも多くなっています。幸いなことに一流とされる企業の方たちから一定の評価を受けていますし、その方々の支援があるということは当社の情報サービスが少なからずお役に立っていることの証しだと自負しております。資金運用に何が問題になっているのか、日本人と外国人の運用ではどこに違いがあるのかなど、これからもきめ細かいサービスを提供していきたいと考えています。
 金融の世界に魅力を感じるのは、やはり社会性が高い仕事だからでしょうか。たとえば、英国がイギリス病から脱出できたのも金融サービスを自由化して外貨を導入したからです。日本でも金融市場の開放はやるべきことだと思いますし、広い意味でいえば社会貢献につながっていくものだと思います。
 昨年、当社の増資の件であるベンチャーキャピタル会社の担当者とお会いしたのですが、なかなか事業内容を理解してもらえず、断念せざるを得ないことがありました。そのときは相当落ち込みました。そんな私を見た知人は「なぜそこまで苦労して会社経営をしているのですか」と首を傾げていましたが、私自身も不思議に思うことがあります。自分の中に常に何か新しいことをやりたいという血が流れているのかなと思ったりしますが、要は変わり者なのでしょうね。雙葉高等学校の同級生は大学を卒業すると、すぐに結婚をしたり花嫁修業をしたりで、社会に出て働いた人は10人足らず。女医になった人もいましたが、苦労して会社経営をしているのは私くらいでしょう。

コツコツと根気よく
 若い人たちと接していて気になるのは、「寄らば大樹の陰」のような生き方をしている人が多く目につくことです。バブル時代のように大きな流れが来ると、みんなが同じ方向に行ってしまうことはとても危険だと思います。政治でも経済でもバランス感覚が大事だと思います。さらに気になることは、要領よくやって結果が出ればそれでいいと思っている若者も多いことです。要領よくやって成功しても、何回も続くものではありません。勉強でも仕事でもコツコツと根気よくやることが大切なのです。メジャーリーグで活躍しているイチロー選手でも、人知れずに努力していると思います。逆にいえば、コツコツと努力している人に日の当たるような社会になってほしいと思いますね。
 私はある一定のレベルまで会社を押し上げたら、そのあとは若くて優秀な人材に会社を引き継いでもらおうと考えています。いつまでも自分の会社だといってしがみついているのは、自分の性分に合いません。私より会社を適切に運営できる人が出てきたら、いつでも禅譲しようと思います。後継した方にもっとうまく会社を経営してもらえれば、それに越したことはないからです。
 実際に若い経営者の方と仕事上の交流がありますが、とても魅力的な方が大勢いらっしゃいます。そうした方たちとの人間関係やネットワークは大切にしたいと思います。1回お会いした方と、もう一度お会いするチャンスがあるかどうかで、お互いのビジネス・チャンスが広がっていきます。チャンスを作るのも、チャンスをつかむのも自分の実力です。奢ることなく、一つ一つモザイクを埋めていく地道な情報サービス提供を続けていきたいと思います。

次号(2008年10月1日発行)は、株式会社船井本社 代表取締役会長の船井幸雄さんが登場します。



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