私は人間にすごく興味があります。とくに企業経営者や銀行幹部のお話を聞くのが大好きです。だからでしょうか、インタビュー取材以外でも「澁谷さんと話していると、まるで取材を受けているようだな」と言われます。これは相手の話を聞くときに、必ずメモを取るからでしょう。オフィスで面談するときはもちろん、お酒の席でもメモを取ります。酒席のほうがいい話を聞けることが多いからです。それと「社長、もう一つうかがってもいいですか」が、私口癖になっているからかもしれません。
いろいろな経営者の方とお会いして、そのときにうかがった印象的な言葉やエピソードなどをメモし、それをまとめてウェブサイトや情報誌に掲載しています。千葉県の亀田総合病院は患者さんから高い評価を得ている病院ですが、取材したときに亀田信介院長は「医者は患者には情報を提供して、その情報を患者と共有するべきです。共有した上で患者とともに病気と闘うことが大事です」とおっしゃっていました。医者は患者に対して情報を提供したがらないそうですが、それは火を恐れるようなものと院長は言います。
この話を「火を恐れるようなもの」とタイトルを付けてメールマガジンで配信すると、大きな反響がありました。トヨタ自動車の張富士夫会長の講演では「困ると知恵が出る」という話を聞きました。張会長の若いころの経験だそうですが、人間はアイデアを考える期間が短くなると知恵が出るということです。これはいい話だと思ってメモするわけです。
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